価値保存の法則

最近知り合いの会社からホームページ作成会社からの営業が多いという話を聞きました。
それで面白いのが提案内容がみんな同じだということです。
どういう内容かというとホームページ作成は無料でやるが、更新やサーバー利用料として月々取るらしいです。
そしてホームページデザインは用意されているテンプレートから選んでカスタマイズするみたいですね。


確かにこの方法だと顧客は初期費用を少なくホームページを立ち上げられます。
しかし、このモデルは売る方の都合で決められているように思います。
運用フィーとして毎月固定でお金が入ってくれば会社は経営が安定しますし、既存のデザインを使えばデザイン料も安くできるのでスケールメリットが出て収益もあがります。


しかし、顧客はマーケティングの一環としてホームページを使います。
他と同じような内容だったらマーケティング効果も少なくなるのではないでしょうか。
なおかつ運用をアウトソースしてしまうと他社にスイッチするのも難しくなるでしょう。
そしてその会社が設定している月の運用料金を教えてもらったのですが、行う作業に対して割高なのではないかと感じました。
ITに疎い経営者だとそれが妥当なのか判断ができないので、結構だまされている人が多いようです。
ビジネス戦略としてそのようなビジネスモデルを考えているのでしょうが、自分たちのことしか考えていないのが透けて見えてしまいますね。


また人材派遣会社も人の無知につけ込んだビジネスをやっているところがあります。
私は何回か人材派遣会社を利用して仕事を探しましたが、エンド顧客からいくらもらっていて派遣会社がいくらマージンを取っているか教えてくれる派遣会社はありませんでした。
そもそも彼らが自分たちのために動いてくれるのは仕事を紹介してくれるときだけです。
それなのに働いている間ずっとマージンを取り続けるというビジネスモデルは納得できませんでした。
派遣会社側から言わせると営業コストもかかっているし、人材紹介のように多額の紹介料ももらえないのでこういうモデルになるのでしょうが、派遣されている側から考えると取り過ぎなのではないかと思います。
実際大手派遣会社では30%くらいのマージンを取っているところが多いようです。


ビジネスとは価値の交換です。
それなりのお金をもらうならそれに見合った価値を相手に提供すべきです。
私が見たHP作成会社や人材派遣会社は人から搾取することを基本としているビジネスをやっているように感じました。
それらの会社から言わせるとそれは正当な報酬だというかもしれません。
しかし、私はそのようなHP作成会社にHP作成や運用を依頼しないし、人材派遣会社も使おうとは思いません。
なぜなら対価に見合う価値をこちらに提供しているとは思えないからです。


私は以前常駐で派遣社員として働いていたことがあります。
そのとき派遣先企業でアサインする仕事がなくて会社に行っても何もやることがないという状況になったことがあります。
そのときさすがにお客さんに申し訳ないと思って自分の守備範囲外の仕事もやるように努力しました。
そのとき思ったのはいただいたお金以上の価値をお客さんに提供するように努力すべきだということです。
ただそう思ってもできなかったこともありますが、少なくとも心がけて努力するようにしています。


物理学の基本法則としてエネルギー保存の法則というのがあります。
エネルギーのやり取りを行う物理現象では事象の発生前と発生後のエネルギーの総量は同じだという法則です。
ビジネスでやり取りされる価値の交換もこれと同じような保存則が働いているのかもしれません。
つまりいただく報酬と提供する価値は等しいということです。
もちろん短期的に見ると片方に価値が偏在する状況があるでしょう。
しかし、長期的にみるとやはりお互いの価値は等しくなると思います。
もちろん価値とは人間が生み出すものなので物理法則のように自然に存在するものではないですけどね。


もう一度いいますが、ビジネスをするということは価値の交換を行うということです。
片方にばかり有利な取引では長く続けることはできません。
多くの企業は提供する価値など気にせず目先の利益ばかり追いかけていますが、そんな企業は早晩なくなってしまうでしょう。
そして価値というのは実体がなくて取り扱いがやっかいなものですが、それを提供できるかどうかが企業の命運を握っているのだと思います。