適切な人をバスに乗せる

以前、かなり強烈な人と仕事をしたことがあります。
その人は経験5年くらいの私より年下のSEでした。
4人くらいのチームで開発をやっていたのですが、このプロジェクトはいろんなトラブルが発生して胃に穴があく思いをしました。


このSEの問題点は人とコミュニケーションを取るのが下手で、メンバー全員とぶつかっていました。
私は彼よりは経験もあるので設計のたたき台を作ってディスカッションしていたのですが、人を批判するような言い方ばかりしてきました。
またそのポイントがへんなところばかり指摘してきて答えるのがいい加減いやになってしまいました。
後、彼の専門の部分は任せたのですが、それがトラブル続きでした。
彼はプログラマーなので開発環境の構築は任せたのですが、チームのソースコードをバックアップを取っていなくて別のメンバーが誤ってソースを消してしまってプロジェクトがかなり遅れてしまいました。
私ともう一人別のメンバーでなんとか消されたファイルを復活させようと努力していたのですが、問題の彼は自分のせいではないと思っているのか知らないふりでした。


そんな状況でチームの雰囲気が悪くなっていったのですが、またその彼がやらかしてしまいました。
ある開発ツールを導入するというので彼がもってきたのですが、私は後々のメンテナンスを考えたらそれは使わない方がいいと言いました。
そうしたら勝手に上司にもっていって導入を決めてしまいました。
そんな彼を信じる上司も上司なのですが、プロジェクトメンバーはみんな怒ってしまいました。
私はもうこれ以上彼とはできないと思ったので上司にいって外してもらうよう頼みました。
他のメンバーもそのプロジェクトから離脱したいと思っていたようです。


このプロジェクトで学んだことはプロジェクトメンバーの選定には合理的な判断が働くようにすべきということでした。
グーグルは社員を入れるときはチーム全員がOKしないと入れないそうです。
グーグルが働きやすいのはそのせいなのでしょうね。
企業では人事権をもつ部署もしくは人が採用の決定権がありますが、そこでちゃんとした判断が行えるかというと難しいのではないでしょうか。
特にエンジニアはプロジェクトチームの中で働くことになるので技術力だけでなく人格やコミュニケーション能力も重要なファクターとなります。
プロジェクトが成功するか失敗するかはどういう人をプロジェクトに入れるかで決まるのだと思います。


私の好きな「ビジョナリーカンパニー2」の中でグレートな企業は誰と仕事をするかを重視すると書かれています。
「適切な人をバスに乗せる」と表現していますが、プロジェクトも同じだと思います。
適切な人とは専門的な能力が優れているだけではだめで、倫理観や考え方に共感できる人でなければいけません。
それぞれのメンバーが100%の能力を発揮できるようなメンバーでないと成功できないということなのでしょうね。


私はそのプロジェクトから離れてその後どうなったのかは知らないのですが、おそらく成功はしないでしょう。
そしてもし自分がプロジェクトを起こすようなことがあったら人を選ぶのに時間をかけたいと思います。
もうあんな思いはしたくないですからね。

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山岡 洋一

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