オープンとクローズという戦略

それは革新を受容するシステムか?は長年IT技術に携わってきて同感するところがありました。

オープン化とクローズドのメリットとデメリットとして

・クローズド戦略
 利点 ビジネス優位性 イノベーションへのモチベーションが高い
 欠点 イノベーションの停滞、限定的な普及
・オープン戦略
 利点 多くの叡智を結集しイノベーションの促進、コモディティ化を加速
 欠点 ビジネス的魅力が少ない、革新的イノベーションに対するモチベーションが低い

 私の経験からいうと技術はクローズドからオープンへ流れていく傾向にあるようです。例えば
・MacからWindows へ(ハードウェアのオープン性)
 一社がハードウェアの仕様決定を支配していた時代から標準に基づいて多くの企業が参加するようになった。
・WindowsからLinuxへ(ソフトウェアのオープン性)
 一社支配ではなくオープンソースによってOSの公共性が高まっている。

 インターネットの世界では多くのプロバイダーが登場したことにより既にオープン化が達成されています。これからは携帯電話もIP無線電話が登場すれば同じ道をたどるのではないでしょうか。

 しかしオープンにすることによって企業の利益が損なわれることも多いと思います。そう考えると企業も安易なオープン政策はとれないのでしょう。やはり収益性を損ねない範囲でできるだけオープン戦略をとっていく必要があると思います。そのとき気をつける点としてオープン戦略をとることによって失った利益以上のメリットを得ることが予想されるということだと思います。

要はバランスが大事なのでしょう。

オープン化の流れでこれから予想できることとして例えば

・OS、ミドルウェアなど基盤となるコンポーネントはオープン化に向かう
 基盤となるソフトウェアはきわめて公共性が高いものになりました。Windowsは高速道路や空港のような存在で、それなしでは活動ができなくなっています。このようなものは誰でも内部にアクセス可能になるべきでしょう。

・早い段階でオープンにして短いスパンで製品に対するフィードバックを得る
 オープン化が進むことによりソフトウェアの進化も促進されると思います。いままでのように何年もかけて巨大なソフトウェアを開発するモデルは減少していくのではないでしょうか。

 以前は先行者利益でクローズド戦略によって企業優位性を長期間確保できましたが最近はその期間がだんだん短くなっています。クローズド戦略で全て利益を独り占めするのではなくオープンにすることにより多くの人と利益を分かち合いリターンとして多くの人から利益を享受するモデルがこれから増えていくと思います。