成果主義を考える

 おはようございます。今日は五月晴れでとても気持ちがいいですね。今日は昼からプールで泳いできます。

 私は今バリュエーションについて勉強していますが、この考え方 人事評価に使えないかと思いました。バリュエーションの基本はその企業が将来生み出すキャッシュが評価基準になります。これはひょっとしたら企業の社員評価にも使えるのではないでしょうか?
 つまり社員も企業の中で将来どれだけの利益を生み出すのかを基準にして報酬を決めます。今までの給与制度だと行った功績に対して給与が上がるという仕組みでしたが、この方法では将来性に対して投資するという形になります。もし企業が期待したパフォーマンスを社員が実現したらバリュエーションは向上してさらに高い報酬を得ることができるでしょう。

 最近企業では成果主義を導入して社員を評価しているところが多いですが成功しているところはあまりないようです。失敗している原因として考えられるのが評価するのは誰なのか、評価基準はなんなのかが明確でないことなどです。しかし根本の問題は企業評価と人事評価の整合性がとれていないことではないでしょうか?企業価値向上に貢献している人が評価されないとみんな自分のことしか考えないようになるでしょう

 バリュエーション方式による新しい人事評価ではその社員が将来どれくらいの利益を生み出すかを基準にして給与を決めます。株式会社のように株を所有して支配権を持つということはできませんが、投資に対してどのくらいキャッシュを生み出したかが明確になります。
 これはある意味社員に対しては厳しいことですが、株式会社ならみんな株主に対してやっていることです。そして社員は企業価値向上に自分がどれだけ貢献しているか認識すべきだと思います。そうしないと会社自体がだめになっていくでしょう。

 人事評価はお金でなくてもいいと思います。時間や人材などのリソースを提供するほうがいい場合も多いと思います。例えば新製品を開発する時間を何ヶ月かもらえるとか専門家を雇ってもらうなどです。
 この方法は投入した投資に対してどれだけ利益を生み出したか評価の基本になりますから非常に明確です。間接部門など収益がはっきりしない部署もありますが、社内取引などで明確にするなどの工夫をすれば解決できると思います。

 この方式の一番重要な部分は全員が企業価値向上するにはどうすればいいかを理解することです。言われたことをやるだけとかうちの仕事はこれだけなどという事なかれ主義が企業に蔓延していますが、こういった状況を打破するためにも有効なのではないでしょうか。
 またこの方法だと長期で物事を見るようになります。バリュエーションの基本は将来価値に注目しているので一時的に業績がよくても企業価値は上がりません。一つの分野でエキスパートになるのに10年くらいかかることを考えると企業にとっても社員にとってもメリットがあるのではないでしょうか?
 ただし転職が多い昨今では企業が投資した資金が失われる可能性があります。このあたりはM&Aの手法を使えるといいんですけどね。例えば転職先企業が転職元企業に社員のバリュエーションに基づいてお金を支払うようにします。そうすれば転職元企業も損をしないと思います。ただ人身売買にならないようにするとか法律の整備とか色々問題があるので実現は難しいでしょうけどね。

 しかし企業が今までのやり方を急に変えるのは無理でしょう。まずは日本人のカルチャーにあわせた形で導入していくほうがいいでしょうね。例えば個人評価に使うのではなくグループに対してまずは適用していくとか、マネージャークラスの評価からしていくなどです。そこから末端まで企業価値の考え方をまず啓蒙していかないと広がっていかないでしょう。
 また企業側にとっても問題になる可能性があります。投資対象の社員が予想したパフォーマンスが出せない場合は回収ができません。しかしそれは通常の株式投資と同じようにリスクがあるので仕方がありません。そのリスクをどれだけ減らしてリターンを増やすかということを考える必要があります。

 ウォーレンバフェットは投資先を決めるときは経営者の質を必ず見ます。彼も人に対して投資しているのでしょうね。こういう評価方法をとると学歴や資格などは関係なくて中卒でもキャッシュを生み出す人が評価されます。私は前々から学歴で企業が人を選別するのはおかしいと思っていました。だってモノを買うとき提供している人がどこどこ大学卒だなんて考えないでしょ。バリュエーションという考え方はそのことを論理的に説明している考え方だと思います。

 バリュエーションを勉強していて思いつきでこんなことを考えてみましたが、実際にやるのは大変だと思います。ただ実際にやってみてどのような結果になるか見てみたい気がします。人々が生活の糧を稼ぐ場でこんな実験をすると怒られそうですが。