IT企業のマネージメント

 一週間経つのが早いですね。歳をとったせいか時の流れが速く感じます。時間は大切に使わないといけないですね。

 ここでぶっちゃけたことを結構書いていますが、時々こんな事書いて大丈夫かなと不安になることがあります。どれくらいの方が私のBlogを読んでいただいているかわかりませんが、自分の思ったことを他の人たちに迷惑がかからない程度に書くことは自分でもいいリフレッシュになっています。
ということで今日もちょっとぶっちゃけちゃいます。

 もうIT業界で15年働いていますが、無能な経営者が多すぎると感じています。大手のSIベンダーなどは社長が親会社の出向でITのことが全くわからない人が経営を行っています。技術上がりならまだしも経理や営業出身だと数字しか関心がないためか技術者集団をマネージすることができていません。
 私もいくつかの大手ベンダーで働いた経験がありますが、社員がそれぞれ個別に動いていて組織としてのマネージメントができているところはありませんでした。
 例えばウェブサイトの構築を受注する場合でもネットワーク機器やサーバー、ソフトウェア、運用サービス、保守サービスなど様々な商品を扱うことになります。それぞれの商品に詳しいエンジニアでチームで編成するわけですが、みんな個別で動いていて他の仕事もやっているため調整が非常にしにくい編成になっています。
 また見積もりも通常は営業が行いますが、営業は技術に詳しいわけではないので見積もるとどうしても採算が取れない状況も多く発生します。数字ばかり気にする経営者は営業に採算が取れるよう見積もることを指示しますが、そうすると必然的にエンジニアが見積もらなければならなくなります。そもそも評価方法の違う営業とエンジニアに同じ仕事をさせるのはモチベーションの差がありますからうまくいくわけがありません。
 そういった現場を知らない経営者が会社の舵取りをすると会社の活力を奪ってしまうことになります。

 またITエンジニアは個人によって能力が全然違います。大規模なネットワークを構築できるエンジニアや最新のオブジェクト指向設計方法で開発できるエンジニアはそう多くはいません。彼らは面白いから自分のプライベートな時間を犠牲にしてまで勉強してできるようになった人たちです。
 自然とそういった人たちには仕事が集まってきます。できるようになるといよいよ忙しくなります。しかしいくら技術向上の努力をしても企業が個人を評価することはありません。せいぜい残業代が増えて収入が増えるだけです。(残業代も払わないふざけた企業もあるようですが。)
 これは企業が個人から搾取しているのと同じではないかと思うようになりました。がんばったものが馬鹿をみるような組織では必然的にみんなやらなくなります。実際会社では自分の担当しかやらない人たちばかりで、プロジェクト全体のことを考えている人は少ないのではないでしょうか。
 日本企業は営業の方が重視されるのも理由かもしれません。もちろん営業はコミッション制で売らないと給料が少なくなってしまいます。しかしIT製品は箱売りが難しいものなのに営業ばかり評価されるマネージメントはエンジニアのモチベーションを著しく下げます。商社系の会社ではエンジニア部門をコストセンターとして扱っていましたが経営者の頭の悪さにあきれてしまいました。我々エンジニアが働いているから顧客はお金を払ってくれるのになぜコストセンターなのでしょうか?商社上がりの経営者にとっては技術はどうでもいいことなのでしょうね。

 派遣会社がこれだけ大きくなっているのもITエンジニアから搾取したからでしょう。ITエンジニアを派遣している会社はそれぞれのエンジニアのスキルを全く理解していません。以前Unixのシステム開発の仕事とエクセルのマクロを書く仕事の時給が同じということがありましたが、派遣会社の認識はその程度なんだろうなと思います。派遣会社はオフィスも人も抱えなくて人の給料の上前をはねるビジネスです。エンジニアの給料の1割から3割をピンはねするのであれば少なくともエンジニアのスキルDBくらいは作って顧客に提案するくらいの仕事をしなければいけないのではないでしょうか?

 日本はいつからこんな国になってしまったのでしょうか?多くの企業は楽してお金儲けをしようとするところが多く、まじめに努力している人から様々な搾取の方法を考え出します。その一番大きなのが政府でしょう。税金や保険、年金など聞こえのいいスローガンを掲げて合法的に人々からお金を搾取しています。彼らこそコストセンターで利益を生み出していないのにいまや一般企業に勤める年収を上回る報酬を得ています。一昔前だったら革命が起こっても不思議ではないのではないでしょうか。

 しかしそんな絶望的な状況に愚痴っていても仕方がありません。こんな状況でエンジニアが働きやすい環境とはどんなものか考えて見ましょう。

 まず企業が技術を基本として技術を重要視しなければいけないと思います。Sonyがだめになってしまったのは本業の家電事業をないがしろにしたために企業の求心力が失われてしまったためだと思います。AV機器だってiPodのような製品を作ればぜんぜん斜陽産業ではありません。Sonyの復活は家電事業をどう立て直すかにかかっていると思います。
 日本企業はカイゼンの言葉に表されるように今あるものをよくしていくことは得意ですが、全く新しいことを考えることが苦手です。今調子のいい企業のほとんどは車や家電製品など成熟した製品を扱っています。しかし新しいことをやっていかないと未来はありません。これからの企業は失敗しても新しいことにチャレンジする人を評価していかなければいけません。
 新しいことへのチャレンジが評価されればエンジニアのモチベーションも上がります。例えばあるエンジニアがロボットを開発したいと思ったら、そのために必要な要素技術である組み込み開発やモーターやセンサー技術などを自社開発または他社に依頼するなどの活動を支援するといったマネージメントが必要になります。
 
 もちろんこれらの活動は企業価値を上げて利益を生み出すことが目的です。この目的を経営者も現場のエンジニアも共有する必要があります。従ってエンジニアも企業価値とは何かを理解し、利益やコストにセンシティブにならなければいけません。好きな開発ばかりやって莫大に経費がかかったけど利益がでないのであれば会社はつぶれてしまいます。例えば経営者が企業の財政状況を定期的にエンジニアに説明して現在どういう状況にあるのか、これからどうすればいいのかをみんなで考える体制を作っていくべきでしょう。

 私はIT企業は財務-マーケティング-技術のバランスが大事だと思います。それぞれがうまく調和して連携できればその企業は発展していくことができるのではないでしょうか?