いろんな人がいたほうがいい

私たちの社会は非常に頭がいい人たちが物事を決定して運営されていると思われがちです。
しかし、民主主義社会では多くの人たちから選ばれた人が政治家になりますし、株式市場では多くの人たちが売り買いした結果株価が決定されます。
「みんなの意見は案外正しい」という本では一部の優秀な人たちよりも多数の人たちの意見を集約したほうが正しい結果を出すことが多いことを解説しています。
 
 優秀な人ばかり集まった組織ではなぜか愚かな決定をしてしまうことが多く見られます。
戦前の日本はエリート官僚たちが国を動かしていましたが、第2次世界大戦で国を破滅させる方向に導いてしまいました。
ケネディが大統領だったころのアメリカ政府は切れ者の優秀な政治家で構成されていましたが、ベトナム戦争という泥沼に国をひきづりこんでしまいました。

 私の好きなアニメで攻殻機動隊というのがあります。
未来の警察のお話ですが、メンバーはほとんどサイボーグでスーパーマンのような能力を持っています。
しかしそのメンバーの中でトグサというメンバーだけ生身の人間です。
なのでいつも足手まといになったりするのですが、リーダーは同じような人間ばかりだと組織が死んでしまうと思って彼をメンバーに入れます。
同質の人間ばかりだと同じような意見ばかりになって組織がだめになってしまうのでしょうね。

 いまやBlogでいろんな人が自分の意見を発信できるようになりました。そのうちラジオやTVみたいに音声や映像の発信も普通になっていくでしょう。
私は有名な人のBlogよりも無名な方のblogを読むのが好きです。
世間で優秀とされている人の意見はどうしても同質的になりがちですが、そうでない人はいろんな考え方を持っていて時々はっと気づかされることがあります。
やはり多様性が大切なんだと思います。

 この本では多くの人の意見を意思決定に利用するためには意見を集約する仕組みが必須だと言っています。
もしBlogにそのような仕組みがあれば将来の国会になるかもしれません。
Googleは多くの意見を集約する方法としてページランキングという手法を考え出しました。
リンクされている数で情報の重要性を表現したのは大きな発明でしたね。
これこそ多数の意見を集約するしくみです。

 民主主義や株式市場が発展してきたのも多様な考え方を集約するしくみとして有効だったからでしょうね。
この本はあらゆる組織を考える上で重要な考え方を解説したものだと思います。

「みんなの意見」は案外正しい「みんなの意見」は案外正しい
ジェームズ・スロウィッキー

角川書店 2006-01-31
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX The Laughing Man攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX The Laughing Man
士郎正宗 田中敦子 阪脩

バンダイビジュアル 2005-09-23
売り上げランキング : 7
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools