ハイコンセプト - これからの時代を生き抜くために

 ダニエルピンクは「フリーエージェント社会の到来」という本を以前に読んでいて知っていました。
「A whole new mind」という本がUSでベストセラーになっているということで読もうと思っていたのですが、大前研一が翻訳して「ハイコンセプト」というタイトルで出版されました。

 内容としては私にとっては新しいことは書いていなかったのですが、このあたりを全く知らない人は衝撃を受ける内容だと思います。
まず彼は自分の行っている仕事が以下の項目に該当するかを考えなさいとアドバイスしています。

・ 自分の仕事はインドや中国でもっと安い人件費で行えるか?
・ 自分の仕事はコンピューターで行うことができるか?
・ 自分の仕事は豊かな時代になったら必要とされなくなるか?

 もしこの質問にYesであったなら仕事を変える必要があります。
インドや中国は世界経済に大きな影響を及ぼす存在になりつつあり、これからさらに多くの人々が資本主義社会に参加してきます。
付加価値の低い仕事だけでなく医療や財務経理、製造開発など高度なスキル
が必要な仕事もどんどんインド、中国に流れていくと予想されています。
 またIT技術の進歩によって今まで人によって行われていた仕事を機械が行うようになりました。
銀行のATMやECサイトによる物品販売などはその例ですね。

 著者は、これから価値の下がる仕事は左脳的なものをであると言っています。
会計士や弁護士、医師など士業や車やソフトウェアを作るエンジニアも左脳的な仕事ですよね。
しかしこれらの仕事はいまやインドや中国にアウトソースされています。
日本ではまだそんなに進んでいないようですが、USでは医師の診断や会計監査をインドや中国の人がやっているそうです。

 それでは人件費の高い私たちはどうやって食べていけばいいのでしょうか?
著者は右脳型人間になる必要があると言います。
車を売るにしても今はデザインで売れ行きがきまります。
人気のある医者や弁護士は依頼人とちゃんとコミュニケーションできる人です。
仕事のコモディティ化に対抗するためには感性やセンスを磨いていかなければいけないということでしょうね。

 私はこのあたりのことはわかっていたのでいまさらという感じでしたね。
それにデザインとかアートとかそっち方面に偏りすぎていて、イノベーションとか独創性ってのもこれから必要なスキルなんじゃないのと突っ込みをいれたくなりました。
ただ読み進むにしたがって、結局は自分がどう生きていきたいかというライフプランに関わる問題ではないかと思うようになりました。
生き残っても不幸だったら意味がありませんからね。

これからどういう人生を歩んでいこうか考えさせられた一冊でした。

ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代
ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代ダニエル・ピンク 大前 研一

三笠書房 2006-05-08
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