ソフトウェアを売るビジネス

 私はもともとUnixエンジニアなのでオープンソースが好きです。
最初にこの業界に入ったときの仕事で1/4カートリッジにgccemacsなどをワークステーションにインストールした覚えがあります。
emacsやviのキーバインドを指が覚えていて何も考えなくても操作できるから他のエディターを使う気になれないです。


 しかしオープンソースの登場によってつぶれていったソフトウェア会社もたくさんありました。
コンパイラを作っていた会社はgccの登場で真っ先に消えましたね。
最近ではEclipseのせいでBorlandもなくなりそうですし、Linux,OpenOfficeの登場でMicrosoftもやばいんじゃないでしょうか。


 私はもともとソフトウェア自体をパッケージ化して売るというビジネスは無理があるのではないかと考えていました。
ソフトウェアや音楽や映像などのコンテンツもそうですがほぼコストゼロでコピーすることができます。
なので製品の人気が出れば大きな営業利益を上げることができます。
しかしコピーは誰でも出来てしまうので海賊版も多く出てきてしまいます。


 インターネットやP2Pによってそれが加速されていてもはやビジネスとしては難しくなってきているような気がします。
もちろん法律で著作権は守られていますが、現実問題として法律で規制するのも限界があるような気がします。
特に最近のマイクロソフトのように色々規制をかけてくるとユーザーにとっては不便でしかたがないのでそのうち使われなくなってしまうかもしれません。
コピーコントロールCDでCD売り上げが落ちたことを企業も学んだほうがいいと思います。


 資本主義が前提にしているのはビジネスを行うには資本が必要だということだと思います。
だから株主から資金調達して事業に使うというモデルになるのだと思います。
これが個人でもできるとなると会社の存在意義はなくなってしまいます。
もちろんソフトウェアを開発するには莫大なコストがかかりますが、一度作ってしまうと誰でもコピーできるのでユーザーとしては企業にお金を払うモチベーションは(いい悪いは別にして)低くなってしまいます。
オープンソースはそれに拍車をかけています。
ビルゲイツはフリーでソフトを配布したら誰もソフトウェアを作らないといいましたが、現実は無償のソフトウェアがこんなにたくさん出てきました。
伽藍とバザール」という本にはその現象をよく分析しているのでぜひ読んでみてください。


 これからは「ソフトウェア作るのにこんなに費用がかかったからお金を払ってください」というビジネスは成り立たないのではないでしょうか。
私もソフトを買って全く使わなかったことがありましたが、もったいないなと感じていました。
また定期的にアップグレードとかライセンス管理とか面倒くさくてソフトのパッケージが山積み状態でした。
かなり無駄なもの買ってましたね。
それよりユーザーが使って本当に役に立った場合にお金をもらうというモデルの方が健全だと思います。
これからはASPモデルのように月いくらで利用料を払ってもらうとかGoogleのようにユーザーにとって有益な広告を表示して収入とするなどの方法が一般的になると思います。


 そうはいっても一部のマーケットではパッケージソフトの需要があります。
例えばCRMや生産管理など特殊なコンサルティングが必要な分野のパッケージソフトは生き残っていくのでしょうね。
どちらにしても今はパッケージからサービスへの移行期だと思います。
こういうチャンスに何かやってみたいですね。

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