若者はなぜ3年で辞めるのか

若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来
城 繁幸

光文社 2006-09-15
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 表題を見て自分がプログラマだったころ、今は大変だけどとりあえず3年は我慢しようと思って徹夜仕事をやっていたころを思い出しました。
いつの時代も若者は同じことを考えるのでしょうか。

 この本は最近の新卒社員が3年で辞めてしまう状況を分析した本です。
対象は大学を出て一流企業に入った新卒をメインに書いているようです。
そしてその原因として年功序列と終身雇用をあげています。
確かに自分のまわりを見ても給料の高いおじさんたちを若者が働いて支えているという状況を見ることがあります。
特に大企業でその傾向は強いようです。
しかし入社3年でそこまで気づくがどうかは疑問ですが、30代になるとわかるでしょうね。

 私も日本企業のマネージャーの管理能力のなさには泣かされました。
特にソフトウェア開発のプロジェクト管理は難しくて技術がわかって交渉能力やリソース管理能力も求められます。
しかし私が関わったプロジェクトのマネージャーは誰一人としてまともに管理できる人はいなくて全て作業者の私たちに丸投げ状態でした。
時々この人たちはなんの仕事してるんだろうと思ったことも多々ありました。


 著者は今の日本企業をねずみ講組織だといいます。
ちょっと言葉がきついので著者はなんか恨みでもあるのかなと思ってしまいました。
著者は富士通の社員だったので大企業の社員としての視点で書かれているためでしょうが私にしたらいまさらといった感じもしました。
新卒と既卒の差別についても書かれていましたが、私は大学さえも出ていないのでその差別にさえあうことがない人種です。
最初から大企業には興味がなかったので私には関係ない話なのですが、いい大学を出て会社のブランドにこだわる人にはつらいことなのでしょうね。
なんか贅沢な悩みだなと私からは見えてしまいますね。

 この本で出てくるコネクティという会社はワークスアプリケーションが主催していた一人シリコンバレープロジェクトで投資対象になった会社です。
私もこのプロジェクトの説明会にいきましたが、理由あって応募はしませんでした。
コネクティの社長は元ソニーの人らしいですが、こんな人がどんどん出てきてほしいですね。

 しかし大企業指向の人たちもこのように考えるようになったというのは日本社会が少しづつ変わってきているのかもしれません。
もう大企業に行っても自分にメリットがないとわかれば自分で始める人たちがでてくるでしょう。
私のようなアウトローだけではなく、メインストリームの人たちも何かを始めようと思うことはとてもいいことだと思います。
この本を読んで何かを始める人が増えるといいですね。
しかし大企業はこの本は読んでほしくないでしょうね。
著者がつぶされないといいんですが。