それが解決策になるのか?

仙石さんのBlogの記事について色んな方がコメントされていたので私も感じたことを書いてみました。


 彼はBlogで日本のソフトウェア技術を振興するためには大企業をひとつつぶして死蔵されているエンジニアを解放すると主張しています。
しかし、私はそれはどうかなと思います。
実際大企業を意図的につぶすなんてことは無理でしょうが、仮にできたとしてもそこで働いていたエンジニアが日本のソフトウェア産業を振興するような創造的な仕事をするかどうかは疑問です。
いくら技術があっても安定志向でリスクをとりたくない人だとまた別の大企業に勤めて同じような状況になるのではないでしょうか?
 また、彼の主張では優秀な人材は大企業に集中しているような言い方をされていますがそれもどうなのでしょうか?
かつては垂直統合型企業ではノウハウが企業内にとどまっていて外に情報が流れることは少なかったと思います。
 しかし、水平分業型のIT業界はオープンシステムが基本なので、情報やノウハウもオープンになっています。
なのでその気になれば誰でも勉強することができます。
またエンジニア派遣が増えている状況なので外部の人が重要な仕事を経験できる機会も増えていると思います。
(大手SIerでもエンジニアの半分以上が派遣社員というところもありました。)


 大企業の偉い人が以前テレビに出て「大企業だからといって優秀な人材がたくさんいるわけではない」と言われていました。
おそらく企業に入った頃はいい大学を卒業して基礎的な知識もあり優秀だったのでしょうが、その後努力していなければそうではなくなるのかもしれません。


 私は大企業の問題よりも教育システムの硬直化のほうが問題だと思います。
これだけ技術の陳腐化が激しい時代に再教育するシステムがないのはまずいと思います。
私は以前アメリカの大学に行ったことがあるのですが、州立大学などでは州内に住んでいる人であればIT技術やマネージメントなどを安くで学べるようになっていました。
そして夕方のクラスには社会人の人がたくさん受講されていて彼らの質問に教授もたじたじだったのが面白かったです。
(10年前の話なんですが今も多分そうだと思います。)
そのアメリカでさえこれだけやっていても最近技術系を専攻する学生が減って困っているようです。


 しかし、日本では大学を卒業したあと社会人が再び勉強するためのシステムがあまりにもお粗末です。
いまだに大学を出たら勉強は終わりという意識があるのではないでしょうか。
この変化の激しい時代に必要となるスキルも変わってきます。
また年齢を経るにしたがってマネージメントやファイナンスなどを勉強しなければいけない立場になることもあるでしょう。
今はそういったことを学ぼうとするとかなり費用がかかってしまいます。
もちろん基本的には自分で勉強しなければいけないのですが、国や教育機関はそれを助けるための施策を行わなければいけない時期にきているのではないでしょうか。


 もしそのようなシステムが整備されていけば、やる気のある人たちが優秀な人材に育つことを促進すると思います。
いくら能力があってもやる気のない人はだめだと思います。
やる気があれば知識やスキルは努力すればいくらでも獲得することはできます。
それは年齢や学歴は関係ないと思います。
(年配の方だと時間がかかるということはあると思いますが。)


 正直いうと私にとって仙石さんの文章は少しエリート意識が感じられるものでした。
大企業の人たちは優秀な人もたくさんいるのかもしれません。
しかし、大企業以外の企業にいる人たちだって優秀な人は結構いると思います。
ふとそう思ってしまうのは私がコンプレックスを持っているからでしょうか?