起業家フィルター

 自分でビジネスを起こそうと思ったとき、もっとお金があればとかもっと人脈があればなど外的要因ばかり考えがちです。
しかし、本当に重要なのは自分自身が準備できているかが一番重要ではないでしょうか?


 私の知り合いで自分でビジネスを起こそうとした人がいました。
彼はある程度自己資金をもっていて技術力もそこそこありましたが、結局資金がつきてそのビジネスは立ち上がりませんでした。
彼はなぜうまく行かなかったのだろうと考えたところ、その人と話をして思ったのは感情的に意思決定をする人だなーということでした。
 この人はマーケットや社会情勢など全く考えなくて、自分の好みと勘だけで判断していました。
また製品の品質をあげるために採算度外視で投資してしまいます。
経営コンサルタントなどに相談をしにいったこともあるようですが、アドバイスを全く聞かず自分が正しいと妄信していました。
経営コンサルタントのいうことが必ず正しいとは限りませんが、人の意見を聞く耳を持たないとまちがったことを延々と続けてしまうおそれがあります。


 この人を見てビジネスを起こすには最初はお金がないほうが成功するのではないかと思いました。
お金がないとお金の管理をしっかりしようと思うようになります。
また、失敗すると大変なので事前にマーケットリサーチをしたり、ビジネス戦略を練ったりして準備をちゃんとするようになります。
さらにお金がないと外部のお金を利用しなければいけないのでどうしても色んな人から評価されることになります。
銀行やVCなどはだめな経営者は少し話をすればある程度は判断できるでしょう。
そのようなフィルターがだめな経営者にお金がいかないように働いているのではないでしょうか。


 経営者の資質として重要なのは自分の行っているビジネスを客観的に見れる能力ではないでしょうか?
しかし、一生懸命仕事をしているとなかなか難しいのかもしれません。
成功している起業家が2人で始めた人が多いのはお互いをチェックできる状況になっているからかもしれません。
小さい会社のトップはどうしてもワンマンになりがちですからね。
そんな時トップに意見できる人がいるのはとても重要だと思います。


 今の時代はビジネスするのが難しくなっていると思います。
世の中は物であふれていて食べるのに困っている人はあまりいなくなりました。
中国などの製品のせいもあってかつてのような大量生産で価格破壊的なビジネスは成り立たなくなってきています。
そんな状況ではかなり緻密にビジネスプランを考えないと成功することは難しいでしょう。
しかしビジネスプランを緻密に作るためには財務、マーケティング、技術、社会情勢など様々な要因を考える必要があります。
これを一人で全て考えるのは無理だと思います。


 いろんな人の知恵を借りて意思決定する。
そして客観的視点をもって論理的に考えて実行する。
もし失敗した彼がそんなふうにやっていれば成功していたのではないかとふと思いました。
まービジネスは運もあるのでわかりませんが。