生きかたの知能指数

SQ生きかたの知能指数SQ生きかたの知能指数
ダニエル ゴールマン 土屋 京子

日本経済新聞出版社 2007-01-05
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 本屋さんに行くと平積みされている新刊でおもしろそうなものはすぐ買ってしまうので積読本がなかなか減りません。
しかし、そのとき買っておかないと次に買えないかもしれないのでとりあえず買うようにしています。
この本は「EQ こころの知能指数」の著者が社会でよりよく生きていくための方法を最新脳科学の成果に基づいて解説しています。


 基本的にはEQで書かれていたことが基本となっていますが、著者が社会脳と呼ぶ社会で生きていくために脳がどのように機能しているか、また機能が低下するとどのような症状が出るのかがメインテーマになっています。


 人間の脳で感情を司る部分は扁桃体(へんとうたい)と呼ばれています。
これは怒りや恐れ、不安などを引き起こす部分で、身に危険が及ぶような状況でとっさに行動するために発達した器官です。
そして論理的な思考を司るのが前頭前野で人間的な思考や判断を行います。
通常はこの二つの器官がバランスよく機能しているのですが、育った環境によっては片方に偏ってしまって社会生活を送るのに支障をきたすことがあります。
その結果犯罪に手を染めたり、犯罪までいかなくてもモラルに反することを平気で行ったりする人になってしまいます。
このように反社会的な行動をする人は前頭前野の活動が低下していて感情を抑えることができない場合が多いようです。


 そこで脳がどのように機能しているかを理解できるとなぜ人は非合理の行動を取るのかが理解できるようになります。
例えば人が学習する場合、物覚えのいい生徒とそうでない生徒がいますが高いストレスを受ける環境にいる生徒、例えば家庭内暴力を受けているなど、は前頭前野の機能が低下して学習効率が下がることがわかっています。
そのような状況でプレッシャーをかけて無理やり勉強させても頭に入りません。
最近の子供が家族を殺す事件はその極端な例かもしれません。
こんな場合はストレスの元を取り除き扁桃体の興奮を抑えて前頭前野がちゃんと機能するようにしなければいけません。


 企業でも同じような状況があります。
会社で常にリストラのプレッシャーをかけられている社員は論理的思考能力が低下します。
このような場合も仕事の効率を上げるためにはそのような不安を取り除くマネージメントが必要になります。


 この本を読んで思ったのは、自分も前頭前野の機能が低下してるなと思ってしまいました。
私にとってこの本はそんな自分を見つめなおすきっかけになったような気がします。
人間の脳の仕組みを理解して自分はどうだろうと考えることはこれからの人生でとても有益だと思います。