iPodは何を変えたのか? スティーブン・レヴィ 上浦 倫人 ソフトバンク クリエイティブ 2007-03-29 売り上げランキング : 47929 おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
私はiPodを買ってもう3年くらい使っています。
3G世代のiPodなのでもうかなり古くなってしまいましたが、バッテリーを交換したら故障もせず今でも十分使えます。
この本は「ハッカーズ」で有名なスティーブンレヴィーのiPodについて書いた本です。
内容的にはiPodの開発からiTuneミュージックストアの開設という流れですが、これはまさしくAppleの復活ドキュメンタリーです。
1997年Appleはあともう少しで倒産という状況でした。
当時のことは私もよく覚えていますが、Appleの製品は陳腐化してしまってかつての魅力が全くない状況でした。
JobsがCEOになっても復活はないだろうなと思っていました。
既にWindowsがPCのシェアをほとんど占めている状況でMacの勝ち目はありません。
多少iMacでもりかえしましたが、会社としてはなかずとばずの状況でした。
この本の中でDellのマイケルデルが「自分だったら株主にお金を返して会社とたたむね。」と言ったというエピソードがありましたが、その当時は誰しもそう思ったでしょう。
しかし、iPodで形勢は逆転します。
Jobsは最初iPodをMacにユーザーを取り戻すための手段として考えたようです。
しかし彼らはビジネスをやっていくうちにMP3プレーヤーの市場がPCよりはるかに大きいことに気づいてiPodをメインに切り替えました。
Jobsはこの戦略変更にかなり抵抗したようですが、PC世代の彼にとってこのパラダイムシフトは受け入れがたいものだったのでしょうね。
iPodが最初に発売されたときはろくでもないMP3プレーヤーしかありませんでした。
私も以前Rioのプレーヤーを持っていましたが、シャリシャリするような音だったので使わなくなってしまいました。
Rioを作ったエンジニアは絶対自分では使ってなかったと思います。
それからMP3プレーヤーはだめだと思ったのですが、私と同じように思った人は当時多かったのではないでしょうか。
やっぱり最初に製品を出す会社はいいものを出してほしいですね。
その後、iPodで音楽をたまたま聴いたのですがCDプレーヤーと変わらないいい音だったのでiPodを買いました。
ビジネスの基本として競合があまりいないマーケットを狙うのは定石です。
しかし、Appleの人たちは音楽が好きだからiPodを作ったようです。
Appleがそもそもだめになったのはビジネススクール出身の重役が占めるようになってからです。
ビジネススクールで教えることはビジネスを行う上で役に立つとは思いますが、魅力的な製品を作り出すのには役にたたないようです。
なのでマーケットリサーチや経営戦略を考えるよりも自分のほしいものを考えて作るほうがいいでしょうね。
しかし、本当はiPodのような製品はSonyが出す製品なのに未来はわからないものですね。
Sonyはもはや大企業になってしまって臨機応変に動くことができなくなってしまったのでしょう。
最近Stanford大学が授業の映像の配信をPodcastではじめました。
アメリカはどんどん先に進んでいて日本はTV会社を買収するとかつまらないことばかりやってますね。
ちょっとお金をためて5GのiPodを買おうかな。