利己的な遺伝子

最近色んな会社を見て思うのは企業の伸びる条件はビジネス戦略や資本の多さよりもどのような人が働いているかで決まるのではないかと思うようになりました。


多くの会社を見てきて自分のことしか考えない人たちがいかに多いかというのを実感します。
例えば、ベンダーとして社内システム構築のお手伝いをしたことがあるのですが昔の管理者がずさんな管理しかやっていなかったため引き継いだ人がとても苦労しているケースをたくさん見ました。
私がかかわったケースではIDパスワードさえも引き継がれず設定もできないようなひどい状況のものもありました。
その他にもネットワークがメンテ不能なくらいにぐちゃぐちゃだったり、保守切れの製品を入れ替えないでそのまま使っていたりといった状況のものもありました。
日本の経営者はITに関心がないから担当者の怠慢をチェックできないのかもしれません。


経営者も自分のことしか考えない人が結構多いですね。
私の好きな本「ビジョナリーカンパニー2」では伸びる会社はトップで決まるといいます。
トップの素質で一番重要な要素が第5水準の経営者であるということです。
これは私利私欲よりも会社の利益を優先して考える人という意味です。
しかし、多くの会社のトップを見ても自分の欲を満たすために行動している人がとても多いです。
通常、社長になるような人は出世欲が強くてばりばり仕事をやる人が多いし、そういう人は上からもできるやつだと思われがちなのでしょう。
しかし、本当にトップにつくべき人はそのタイプとは正反対だったりします。
第5水準の人はあまり目立たないんだけど、企業の利益のことを一番に考えて行動する人です。
ただ上からはこういう人は頼りない人に見えるのでしょうね。


生物の設計図であるDNAは自分が生き残るために進化してきました。
しかし、企業に所属する人が利己的だと組織自体がだめになっていきます。
企業の中で既得権益にしがみついている人が増えると会社が成長できなくなってしまいます。
実際の会社を見ているとなぜビジョナリーカンパニーに出てくるような企業が稀な存在なのかが実感できます。


やはり企業で一番重要なのは資本ではなく人です。
ビジョナリーカンパニーでも経営者の一番重要な仕事は誰を雇うかを決める事だと言っています。
この本ではこれを「適切な人をバスにのせる」という表現をしています。
これは学歴やスキルで選ぶのではなくその人といっしょに仕事がしたいかで選ぶという事だと思います。
私が人を選ぶとしたら基本的な倫理観が同じかを見ます。
私が悪いと思っている事を平気でやるような人とは一緒には仕事はできません。
後はフィーリングがあうかどうかですね。
人なので考え方の違いはあって当然ですが、会話したり行動を見たりして自分とあうか判断します。


しかし、バスに乗せるべきでない人を乗せている会社が多いですね。
学歴や職歴のみで人を判断しているからなのでしょう。
あるアメリカの旅行代理店は応募してきた人といっしょにゴルフにいったりドライブをしたりしてその人がどんな人なのかを判断するそうです。
車の運転なんかその人の本質が現れたりしますからね。


ビジョナリーカンパニーのような会社は本当に稀です。
自分が関わった企業を見てもほど遠い状況なので悲観的になってしまいます。
しかしいつかそんな会社と関われるようになれると信じて日々努力していきたいですね。

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