企業の年齢差別


私のまわりで50代で無職の方が結構います。
50代といえばまだまだ働ける年齢なのにどこの会社も雇ってくれないそうです。
転職できる年齢は35歳くらいまでと言われていますが、大企業以外で終身雇用が崩壊した今、年齢差別による労働機会の喪失は日本にとって重大な問題ではないかと思います。





企業の側から考えると若い人材の方が給料も安くてすむし、変な癖もついていないので御しやすいと考えるのかもしれません。
日本では正社員を取るのはかなりのリスクです。
会社にとっては固定費が発生しますし、簡単に解雇はできません。
しかし、どうやらそれは理由ではないようです。
なぜなら、派遣や業務委託でも年齢制限があるからです。
派遣なら仕事さえちゃんとやってくれれば年齢なんてどうだっていいと思うのですが、ここまでくると差別としかいいようがありません。





以前、あるソフト会社の社員選考のとき、相談を受けたことがあります。
履歴書を見せられてどうかと聞かれたのですが、あまりにも色んなことができると書かれていたので少し膨らませているのではと言いました。
しかし、採用者がこだわったのは年齢で30代後半だったのですがそこが不採用の理由でした。
その採用者は50代のおっちゃんだったんですけどね。



このようなことは海外では法律違反になるようです。
アメリカでは採用のときに年齢を聞いただけで年齢差別をしたと見なされるようです。
アメリカも昔は年齢で差別していたのでしょうね。
やはりこういうことは法律で禁止しないとだめなのだと思います。





このような日本の企業に自分の人生を預けるのは危険です。
もし自分が結構いい年になってから職をなくすと働く機会を奪われるからです。
この変化の激しい現代では人生のうちに何回かそのような状況になるでしょう。
そのためにも社外でも通用するスキルを高めて会社に依存しない生き方ができるようにすべきだと思います。





アメリカではいまや多くの人が会社に忠誠心をもたなくなり、同業のコミュニティを大事にするようになっているそうです。
例えば会計士なら会計士組合みたいなものがあってその中で仕事を得ているとのことです。
昔の中世のギルドに近いような気がしますが、どうなのでしょうか。





これからは日本もアメリカのように会社に忠誠心を持つ人はいなくなっていくでしょう。
それは企業が利益と効率を求め、企業の寿命が人の寿命より短くなった結果なのだと思います。
戦国時代、織田信長は本能寺で明智光秀に殺されてしまいます。
明智が信長に謀反を起こしたのは領地を召し上げたことが理由のようです。
命をかけて奉公してきた人が用がなくなったら切り捨てられるというのは今の企業がやっていることを思い起こさせます。





これからは企業に依存しない生き方を模索する時代なのだと思います。
どこに行っても通用するスキルを身につけ自分で売り込んでいかなければいけません。
法律改正でもないかぎり年齢差別もなくならないでしょう。
そんな世の中で生き残るためにも戦略をもって戦って行かなければいけません。
でもそちらの人生のほうが自分らしく生きれるかもしれませんね。



(追記)2007年制定の改正雇用対策法で年齢差別は禁止されていますが、罰則はなく実質的な効力はあまりないようです。


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