近未来ハイパーノマドエンジニア物語

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(Photo of Melbourne City)


5年前くらいに、新しいワークスタイルや企業のあり方を寓話的にブログで書きました。
そのエントリーは以下です。


近未来ITエンジニア物語 - digital session log
近未来高校生物語 - digital session log
近未来CEO物語 - digital session log


これらを書いたときはそんな時代が来るのかもわからない状況でしたが、現実は人の想像を超えつつあります。
そんな今の状況にインスパイアされたので、新たなエンジニアの働き方の未来の物語を書いてみたいと思います。


(物語スタート)
私は生まれも育ちも日本ですが、今はオーストラリアのメルボルンに住んでいます。
仕事はアメリカのシリコンバレーにあるIT企業で働きつつ、自営のウェブサイトの運用で収入を得ています。
職種としてはサーバーエンジニアなんでしょうが、プログラミングもやりますし自分のサイトは起業家として運営しているので特定の職種を名乗るのも意味がなくなりつつあるのかもしれません。
こういう働き方ができるのも、自宅で仕事ができる時代になったからです。
インターネットによって世界中がつながるようになって、PC一つあればどこででも仕事ができる時代になりました。
それと、少し前までは一つの会社でフルタイムで働くのが当たり前だったでしょうが、2020年の現代では複数の仕事を持っているのが普通の時代になっています。


あ、メルボルンに住んでいる理由ですが、会社がそこにあるからではなくて、単にメルボルンの町が好きで移住してきました。
いま、オーストラリア政府は私のようなハイパーノマドエンジニアの移住を歓迎していて、通常は就労ビザや永住権がないとだめなのですが、技術を持っている高機能移民と呼ばれる人たちを多く自国に招き入れる政策を行なっています。
私は学歴もお金もありませんが、どこでも稼げるスキルを持っていることがビザのおりた理由でした。
ただ、ビザがおりるからといって日本人の誰しもが私のように移住するわけではなくて、やはり言語の壁が大きいです。
私は学生の頃アメリカに留学した経験があって、生活するのに言葉に不自由することがなかったので移住できました。
しかし、私の同僚のエンジニアは英語ができないので移住には踏み切れないようです。
日本語しかできないと、住む場所があの狭い日本列島に限られてしまいますね。


私の仕事は今の所、大きく会社の仕事と自営の仕事の2種類に分けられます。
会社の仕事は、クラウドサービスの構築運用と管理アプリケーションの開発です。
会社の他のメンバーはアメリカとアジアとヨーロッパに分散していて、やりとりは主にSkypeでやってますが、最近は社内SNSも活用しています。
私もそうですが、他のメンバーも仕事はほとんど自宅で行なっていて、家のPCから会社のクラウドシステムにログインして仕事を行なっています。
先日も新しい顧客向けに大規模なサーバーファームの構築を行いました。
今は便利な構成管理ソフトがあるので数百台単位の設定も一人で行うことができます。
なので、会社のオフィスにはほとんど行ったことがないのですが、みんな家で仕事しているのでオフィスにはほとんど人はいないみたいです。
東京オフィスは会社に入った頃に通っていましたが、シェアオフィスみたいなところを使っていましたね。


また、自営でやっている仕事は限定グループ向けのSNSサイトです。
一応、最初は自分一人で開発したのですが、今は自分の知り合いのエンジニアに運用や構築を手伝ってもらってます。
この仕事もどこにいてもできるので、東京やサンフランシスコの知り合いのエンジニアと一緒にやっています。
今のところ、そんなに収入にはなっていないのですが、自分の考えたサービスを人が使ってくれるのがうれしくて続けています。
エンジニアとして技術の腕を磨く場にもなっているので、今後も続けていきたいなと思ってます。
あと、Githubという自分の作ったソフトウェアを公開するサイトで、自作の開発ツールを公開しています。
そこで公開されている全てのソフトウェアはオープンソースなのでお金儲けにはなりませんが、自分の技術を磨くのといろんな人が私の作ったプログラムを使ってくれて改善してくれるのが楽しいですね。


よく、海外に住んでいて寂しくないですかと聞かれますが、全然そんなことはありません。
日本の友だちとはSkypeでよく話していて、日本のことを色々教えてくれるからです。
オーストラリアは日本とほとんど時差がないのでSkypeで会話するのにもいいですね。
それと今はLCCという格安航空会社のおかげで東京-メルボルン間が3万円くらいで来れるようになったので、結構頻繁に友達が訪ねてきます。
(ただ、時間が10時間くらいかかりますが。)
メルボルンは町がきれいで住みやすいし、少し車で行くと大自然があるので彼らもいつかここに住んでみたいと言ってましたね。



また、オーストラリアは移民の国なのですが、アメリカほど人種差別もないしオーストラリア人でも結構日本語を話す人がいます。
日本人も結構住んでいて、時々日本人の集まりに参加することもあります。
最近、オーストラリア人の彼女ができたのでシドニーやケアンズにいっしょに旅行に行きました。
彼女は日本が好きで、結構日本語が話せるのですが、私の英語の先生としてできるだけ英語で話すようにお願いしています。
あと、地元のメルボルン大学の教養学部で一般向けのクラスがあるので、そこに参加してラテン語の勉強をしています。
西洋の古典の多くがラテン語で書かれているので、それを原文で読んでみたいなと思ったからです。


今の所、メルボルンは気に入っているのでしばらく住む予定ですが、また新しくやりたいことが出てきたら移住するかもしれません。
次はイギリスのロンドンかブラジルのサンパウロあたりに住んでみたいですね。
(物語エンド)


日本にいるといいところや悪いところって意外にわからないものなのですが、海外に住むと外から日本を見ることができて改めて自分の国を理解できると思います。
他の国へ移住するというのは、社会保障とか病気になったときなど色々問題はありますが、一度しか無い人生なのでいろんな国に住んでみるという経験ができればいいですよね。