LLCとLLP

 今回の会社法改正でLLCとLLPという組織形態ができることになりました。
詳しいことは総務省の資料を読んでいただければわかりますが、簡単に言うと有限責任の組合が作れるようになったということです。
 生協などの組合は組合員によって構成される組織ですが、組合員は無限責任を負うことになります。つまり組合が借金をして破綻した場合は組合員がみんな責任を取らなければいけないということです。
 LLC/LLPでは出資した分だけの有限責任のみでいいことになります。
LLC/LLPができることによって起業方法の選択肢が増えることになりました。例えばサラリーマンをやっている人も週末起業で友人と組合を作ることができます。
なおかつ税金に関しては組合員への配当に対して課税されますので、2重課税がないのもいいところです。
アメリカではすでに企業の10%はLLC/LLPとのことです。

 今国会で法律が制定されそうですが、果たしてLLC/LLPは日本に根づくのでしょうか?与信を行う場合でも企業は株式会社であるとか従業員数、資本金などを目安にしていました。そういう意味ではLLC/LLPはかなりうさんくさく見えるかもしれません。しかし、現在の企業で一番大事なのは人材です。かつては莫大な資金を集めて機械や不動産を取得しないと事業を起こせませんでしたが、ITやバイオなどのハイテクビジネスはいまやそのような大規模なインフラは必要ありません。これからの企業はいかに優秀な人材を集められるかにかかっています。優秀な人材を集めるためにもLLC/LLPは有効かもしれません。

IT業界にいて思うのは会社に所属する必要があるのかということです。自分で営業できればエンジニアは一人でやっていけます。ただ一人だと交渉や資金調達を行う場合不利になることがありますので、グループで動いたほうが個人にとってもメリットがあります。これも株主にあまりにも権力が集中する株式会社の弊害に対する反省から生まれた組織形態なのでしょう。これからLLC/LLPが根づくかどうか見ものですね。