Not Logicalな世界での生き方

 ITというのは論理のかたまりです。技術にしても運用方法にしても秩序だてて仕事を進めていかなければ失敗します。しかし日本のIT業界は論理的に仕事を進めるということができないことが多いと思います。(私のまわりだけかもしれませんが)

 私の体験の範囲だけですが、日本のIT業界は論理的な議論が通らないことが非常に多い印象があります。非常にリスキーで赤字になる可能性が高いプロジェクトでも何の考慮もなく受注してしまうことが多くあります。もちろんお金を稼がなければいけないので仕事は積極的にとっていくべきですが、どういったリスクがあるのか、それに対する対策はどうするのかという議論は事前にするべきなのになされることがありません。

 このような環境では現場は必ずはまります。周到に準備していても不測の事態が起こって計画通りいかないものです。私は長い間ソフト開発やNW構築をやってきましたのではまりそうなポイントはだいたいわかります。それがわかっていて何の検討もなくプロジェクトが進められるのを見ると非常に腹立たしい気持ちになってしまいます。

 ここで強行に問題点を主張すると組織の中で浮いてしまうことになります。したがってみんなに合わせてプロジェクトを進めて一緒にはまるしかなくなります。そしてプロジェクトも赤字になってしまいます。

 このような世界で生きるためにはみんなに合わせてやっていくしかないでしょう。しかしこんなことを続けていけば組織自体がだめになっていくでしょう。日本全体がだめになっているのもこういったことが原因なのかもしれません。

 ローマ帝国はいろんな民族で構成された国でした。アメリカも他民族国家ですが、発展する国というのは他民族で構成されている国みたいです。アメリカみたいにいろんな人が一緒に仕事をするためには論理でコミュニケーションするしかありません。日本のようにあうんでは理解してくれないでしょうからね。

 日本は単一民族で以心伝心を前提にコミュニケーションするため効率はいいのでしょう。しかし違う意見がつぶされることも多いため間違った方向に進みだすと止められなくなってしまう危険性もあります。
 
 日本人も創造的であるとよく言われます。確かにそうでしょうが、社会的につぶされることも多いから創造的な仕事がしづらいのだと思います。ホンダやソニーが出てこれたのは戦後の日本社会が弱っていたため邪魔されることが少なかったからなのではないでしょうか。

 青色ダイオードの中村さんのようによほどの精神力がなければ日本で独創的な仕事はできないと思います。日本も早くそのことに気がついて変えていかないとどんどん凋落していくのではないでしょうか。