脳の中の幽霊

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V.S. ラマチャンドラン サンドラ ブレイクスリー V.S. Ramachandran

角川書店 1999-08
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 人間の脳はもっとも神秘に満ちた臓器です。そして人間が人間たらしめているものでもあります。私は長年IT技術に携わる仕事をしてきましたが、生物の脳はコンピューターに比べていかにすばらしいかをこの本を読んで思い知らされました。

 例えば脳が目から入ってきた画像を処理する方法に驚かされました。人間の目と脳を繋ぐ視神経というのがあります。眼球の後ろに視神経が集まっているところがありますが、ここは盲点となっていて何も見ることができません。しかし脳は自分で画像を作り出して見えない部分を補完します。この本にそのことを体験できる図形がありますが、存在しない図形が見えてしまいます。

 このように目に見えているものが実在のものではないことがあるとは驚きでした。脳は画像だけではなく音や触感なども作り出します。手や足を事故などでなくした人がなくした手足に痛みを感じることがあります。幻肢という症状ですが、これも脳が作り出す情報の一つです。

 生物は進化の過程で生存するために様々な機能を獲得してきました。脳がこのような情報と作り出すのも進化の過程で必要だったからかもしれません。コンピューターとは違って脳は生き残るために発展してきたからでしょうか、とても力強くて美しく感じます。

 ITエンジニアをやっていてコンピューターの融通のきかないのにうんざりしてしまうことがありますが、生物のしくみをみると本当によくできているなと感心してしまいます。人間の作り出す技術もまだまだですね。

 この本は今年読んだ中で間違いなくNo 1です。

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