富の未来

富の未来 上巻富の未来 上巻
A. トフラー H. トフラー 山岡 洋一

講談社 2006-06-08
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 なぜ世の中にはお金持ちと貧乏がいるのか、会社はどういうしくみで運営されているのか、資本主義とは何なのか こういった疑問は私が社会人として働くようになっていつもなんとなく考えていることでした.
なので「富の未来」というタイトルはとても引きつけられるものでした。
(世界で売れているっていうのもひきつけられる理由だったんですが。)
「富の未来」ではこれからの富はお金よりも知識が重要になり、工業社会を前提にしていた資本主義は変化することを予言しています。


 この本のなかで一番面白かったのが「生産消費者」についてです。
生産消費者とは利益獲得を目的としない労働を行う人のことです。
 例えば家族の食事を作ったり、友達にものを貸したりする人達です。
こういった人達が生み出す経済効果を今までの経済学は無視していました.
またITの世界でもLinuxをはじめとするフリーソフトウェアは生産消費者がつくり出したものです。
その効果はみなさんも御存じの通り絶大なものでした。
これがもっと進んで一般の人でも簡単にソフトウェアが作れるようになるとITのパワーをもっと有効活用できるようになるでしょうね。
DIYなどは消費者が自分の必要なものを自分で作るものですが,技術が進めばいつかは自動車や飛行機さえも自分で作れる社会がくるかもしれません。
そうするとメーカーがいらなくなってしまいますね。


 これからの時代は生産消費者は無視することができない存在になっていくでしょう。
そうすると資本主義自体も変わらざるを得ないかもしれません。
今までの経済学などではこの部分は無視されていました。
この変化が起こるのはそう遠い話ではないような気がします。


 日本はこのような変化に対応できるでしょうか?
現状を見ると悲観的になってしまいます。
しかし国単位で見るのでは無くこれからは個人単位で見る必要があるのかもしれません。
国が変わらなければどうしようもないこともあるでしょうが、いまや海外で働いている日本人も多く国が個人を縛ることができないと思います。
保険や年金は破綻し、有名な企業がスキャンダルを起こしている状況で国や組織に依存して生きていくほうがかえってリスクが高いかもしれません。
もう国や組織に依存するのではなく自分の生き方は自分の責任で決めていかなければいけない時代になりつつあるのではないでしょうか。


 今までは弁護士や医者などになるとか有名な大企業に就職するなどが人生の勝者に思われていましたが,これからはそういった常識が通用しなくなるかもしれません。
それよりも本当に自分のやりたいことは何かという基準で人生を決めていかなければいけなくなるんじゃないでしょうか。
しかし自分の人生くらい自分で考えて決めないとだめですよね。
他人の人生を生きるわけじゃないんですからね。