Founders at Work: Stories of Startups' Early Days Jessica Livingston Apress 2007-01-22 売り上げランキング : 4081 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
この本は私にとって今年読んだ一番重要な本になると思います。
Amazon USAでもベスト1になってるみたいですね。
この本は革新的な技術で起業したアントレプレナーのインタビューを集めたものです。
彼らが起こした企業は大きくなったものもありますが今はなくなっていたり買収された企業も含まれています。
しかし、今のIT技術に多大な影響を与えた企業ばかりです。
ちょっとあげただけでもApple,Hotmail,Paypal,Software Arts,yahoo,Bloglinesなど有名なところばかりです。
これを読んで思ったのは起業家にもいろんな人がいるんだなということです。
保守的な人もいるし革新的な人もいます。
大学で技術の勉強をした人もいれば独学で学んだ人もいます。
最初から起業しようと思っていた人もいれば成り行きで起業した人もいます。
しかし、みんな自分の考え方を持っていて人生をエンジョイしている人たちばかりです。
この中で私が印象に残ったのはAppleのSteve Wozniak,Blogger.comのEvan Williams,PaypalのMax Levchinです。
Wozniakは元々HPのエンジニアとして働いていて起業するつもりは全くありませんでした。
彼はApple IIというPCを開発するのですが、それは趣味としてやっていたものでした。
しかしSteve JobsがApple IIをビジネスにしたことによって彼と一緒に起業することになりました。
AppleはWozniakの技術力とJobsの起業家精神が融合してできた会社だったのです。
おもしろいですね。
Evan Willamsは最初から起業をめざしていました。
大学は自分の目的を達成するには不必要だと判断して早々にやめてしまいます。
何か革新的なビジネスをしたいと思っていたそうです。
最初のアイデアはWebベースのプロジェクトマネージメントソフトウェアで社内で情報共有する製品でした。
しかし、投資家からの資金調達ができなかったので企業で働きながら自己資金で開発したそうです。
一方彼は個人のホームページを持っていましたが、あるときフォームに文章を書くとホームページに反映してくれるしくみを考えます。
元々Web技術は詳しかったので簡単に実装できましたが、それが人気を読んでBlogger.comの誕生につながって行きます。
なんか自分と生い立ちが似ているのでちょっと共感してしまいました。
すばらしいアイデアというのはその人が歩んできた人生が影響するものなのですね。
最後のMax Levchinは最初はPalmPilot用のセキュリティソフトウェアを開発していました。
そしてウェブ上で動作するデモ版を公開したらウェブ上で動くバージョンの方が人気が出てきました。
そこでこの技術をウェブ上のお金の決済に使えないかと思ったところからPayPalが生まれます。
最初に考えたアイデアに固執しないで走りながら柔軟に考えていくことの重要性をこのエピソードは教えてくれます。
ここに出てくる人たちが全員言うのは資金調達の仕事が一番大変だったということです。
銀行やベンチャーキャピタルはエンジニアとは違った文化のなかで動いています。
そんな人たちとエンジニアが直接対話することは非常にストレスに感じるのだと思います。
なのでこれから起業する人たちへのアドバイスとして最初は自己資金でやったほうがいいといいます。
もしくは最初に資本を必要としないビジネスから始めたほうがいいということです。
そうすれば本来の仕事に集中できます。
今はホスティングサービスも充実してますし、ネット上でビジネスすれば初期投資は少なくてすみます。
技術とアイデアがあればお金がなくても始められるようになったのでいい時代になりましたね。
この中の一人は最初は会計やビジネスのことはそんなに知らなくてもいいと言っていましたが、私は違う意見です。
自分が社長ではじめるのなら最低限知っておかなければいけない知識があります。
会計や法律は企業をやって行くには必須の知識です。
もちろん専門的なことは会計士や弁護士を雇う必要がありますが、彼らの意見を聞いて判断するのは社長です。
少なくとも彼らが話す内容が理解できる程度には勉強していないとだめでしょう。
シリコンバレーはそのあたりのことをやってくれる人がたくさんいるからその必要がないのかもしれませんが、今の日本ではあまり期待できないと思います。
しかし、アメリカはこんなにすばらしいベンチャー企業がたくさん生まれているのに日本はだめだなと思います。
日本ではこんな本は作れないですからね。
もう日本の政府や既存の企業なんかあてにしないで個人が好きなことをはじめたらおもしろい企業がいっぱい出てくるのではないでしょうか。
そんな予感がします。