ポールグレアムBlog - Want to start a startup?

またまたポールグレアムのBlog記事の紹介です。


The Future of web startup
http://www.paulgraham.com/webstartups.html


ざっと読んだ感じではこんな内容でした。


  1. ウェブアプリケーションの会社をはじめるのはコストが下がったため簡単になった。
     従ってこれからその手のスタートアップ企業は増えるだろう。

  2. 製品が安くなると標準化されるようになっていく。
     それは企業への投資の仕方や買収に関しても同じで標準化の方向に向かうだろう。

  3. 起業が簡単になったため今までよりリスキーなことを行えるようになった
  4. ものが安くなったため若くてもビジネスをおこすことが簡単になった
  5. シリコンバレーのようなスタートアップ企業が集まる地域はこれからも重要だ。
  6. これからスタートアップ企業が増えて行くのでその中から有望な企業をいかに選ぶかが重要になってくる。
  7. 大学はいい企業に入るためのフィルターとして運営されていたが、これからは学生のスタートアップをサポートするための組織に変わって行くだろう。

彼が今まで主張してきた事の繰り返しなのですが、これより面白かったのがこの記事に対するコメントです。
その中で面白かったのは
「学生ローンがある人は起業なんてできない。やはりそう言う人は借金を返すために安定して収入が得られる仕事を選ぶと思う。結局起業なんてできるのは親が裕福でお金に余裕のある人だけではないか。」
という意見でした。


確かにアメリカは日本では想像ができないほどの貧富の格差があります。
アメリカの大学は州立だと安いのですが、それくらいの大学を出ても仕事はなくてレジうちのような仕事をやっている人も結構いました。
メディカルスクールやロースクールなどにいけば収入のいい仕事に付ける可能性は高いですが、日本と同じでめちゃくちゃ費用が高いです。


しかし、このコメントに対して学生ローンは通常生活費に比べてそんなに高い訳ではないので起業ができない理由にはならないとか借金を返すために何十年もつまらない仕事をするほうがリスクではないかなど面白い議論をしていました。


アメリカは実は起業するには厳しい社会です。
貧富の格差が大きいため起業するための最低限のお金を貯めるのも大変です。
Macのバイトのような単純労働は極端に賃金が安いですから。
それに国民健康保険のようなものがないので会社が売っている保険に入る事になりますがこれがとても高いです。
もし保険なしでお医者さんにかかると目の飛び出るような金額を請求されます。
(例えば歯の治療で30万とか)
しかし企業に入れば給料はそこそこもらえるし、保険や年金も企業が用意してくれます。
なのに新しい企業がどんどんできているというのはどういうことなんでしょうね。


それに比べ日本は起業がとてもやりやすくなりました。
国民健康保険はあるし、バイトでも結構いいお金のものがあります。
会社は資本金1円で作れるようになりましたし、政府系金融機関からお金も借りやすくなりました。
しかし、起業率はどんどん下がっているようです。


この差は結局は人なのではないでしょうか?
シリコンバレーは会社をはじめることは誰でもやっていることなのでそういう人たちが集まるのでしょう。
日本はほとんどがサラリーマンなのでその中で会社を起こすというのはとても大変なことのように思うのかもしれません。
また会社が動き出してからの人材確保も難しいのでしょう。
優秀でやる気のある人たちはほとんど大企業に行ってしまうのでベンチャー企業が成長できない要因になっているのかもしれません。
今の大学を卒業したばかりの人たちを見てもその傾向は変わっていないようです。


ポールグレアムがいうように大企業は動きが遅いです。
もし何かやりたいことがあったら大企業で実現する事は難しいでしょう。
ウェブアプリケーションに関してはコストが劇的に下がったので自分でやったほうがいいと思います。
その上日本は起業のための社会インフラが世界で最も整っている国の一つだと思います。
あとは私たちの心しだいといったところなのでしょうね。