ITは日本文化にあわない技術?

 企業にとってIT技術はホワイトカラーをリストラする技術です。
そのことがそもそも日本企業がIT技術を軽視している理由かもしれません。
日本企業はIT技術を軽視していないよという方もいらっしゃるかもしれませんが、技術大国である日本のIT企業が発展せずに人材派遣業界のような状況になっているのを見ると重要視はされていないのはまちがいありません。
ここでいうIT企業というのはソフトウェアやネットワークなど技術を基本とした企業で楽天のようなITを使っているだけの会社やソニーや東芝などの家電メーカーではありません。
最近では中国やインドへ開発業務がどんどんアウトソースされているのを見ていよいよこの分野の空洞化が進むのではないかと心配です。


 以前働いていた会社でウェブデザイナーが一日かけてHTMLファイルをエディターで直していました。
その作業をHTMLファイルを作るたびに毎回やっているようだったのでPerlなどのスクリプトを書けば1分もかからないよと言ってあげました。
しかしそのデザイナーはおもしろくなさそうな顔をしたのでそれ以上私は言いませんでした。
 日本企業の中にはこのような非効率がいっぱいあると思います。
しかしそこでIT技術を使うとその人の仕事がなくなってしまうという状況があるためナーバスになってしまうのかもしれません。


 経営者も利益増大に結びつくことには興味がありますが、人減らしが絡むと及び腰になります。
日本人のカルチャーとして人を切るというのは心理的抵抗が大きいのだと思います。
その点外資系はドライなのでばんばんITを導入して人を減らすということができるのでしょう。


 最近読んだ「若者はなぜ3年でやめるのか」(書評を次に書いておきました)という本にその日本企業の文化がわかりやすく書いてありました。
年功序列でリストラしない日本企業では若者は希望をもって働くことができなくなっているようです。
それはあたかもねずみ講のようなもので末端にいくほど割を食うという組織になってしまったということです。
もちろんアメリカのようにバランスシートのために人をリストラするのはいいとは思いませんが、世界は常に変化しています。
もしリストラされたくなければ自分たちも変わらなければいけません。
しかし、残念ながら人はそう簡単には変わりません。
そのような状況でこれから生きて行くための重要な能力は学歴やスキルではなく変化対応能力だと思います。


 こういう状況では積極的にIT技術を導入することにはならないでしょう。
だからアメリカではやったから自分ところにも入れるという後追い状況にどうしてもなってしまいます。
しかしこんなことをしていたら世界での競争力はなくなってしまいます。


 これから日本人は会社に対する考え方を大きく変えていく必要があると思います。
簡単に言うと個人々々が自立しなければいけないということなんだと思います。
今まで会社と個人は一心同体で個人は会社に依存している状況でしたが、これからは企業は利益を生み出すための組織であると考える必要があります。
そして自分の価値観と企業の理念をバランスして企業に参加するべきでしょう。
そういった中で企業の成長に必要なものはIT技術に限らず何でも積極的に取り入れて行くという文化を育てる必要があると思います。


 今までITシステムを売っていて思ったのは顧客側で準備ができていないということでした。
それは日本企業の文化が効率化を阻害していたのが原因だったと思います。
人を大事にする文化はいい文化だと思いますが、それが企業の成長を阻害しているのであれば経営者はなんらかの手を打たなければいけないのではないでしょうか?


 こんなことを色々考えると今の日本でITビジネスを成功させるのは非常に難しいと思っています。
かつて本当の意味でのIT企業が日本で成功したものはほとんどなく、外資系に負けるか流通やサービス業に活路を見いだすしかありませんでした。
このような状況でGoogleAppleのような企業は今の日本では出てこないでしょう。
 しかし今の状況は永遠には続きません。
いつか変わるときがくると思います。(それが10年後かもしれませんが。)
そのときのために準備をしておけばいいと思います。
 また今は国境を超えることが昔ほど難しくなくなりました。
ソニーが創業したころは外貨を持ち出すのも政府の許可が必要な厳しい時代でしたが、今は個人でも簡単に海外に行くことができます。
インターネットの発達で日本にいながらにして海外と簡単にやりとりできるようにもなりました。
こんなつまんない日本はうっちゃって海外とやるのもいいかもしれません。
そのためにも常に自分を磨いて仕事ができる人にならなければいけないですね。

若者はなぜ3年で辞めるのか

若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来
城 繁幸

光文社 2006-09-15
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 表題を見て自分がプログラマだったころ、今は大変だけどとりあえず3年は我慢しようと思って徹夜仕事をやっていたころを思い出しました。
いつの時代も若者は同じことを考えるのでしょうか。

 この本は最近の新卒社員が3年で辞めてしまう状況を分析した本です。
対象は大学を出て一流企業に入った新卒をメインに書いているようです。
そしてその原因として年功序列と終身雇用をあげています。
確かに自分のまわりを見ても給料の高いおじさんたちを若者が働いて支えているという状況を見ることがあります。
特に大企業でその傾向は強いようです。
しかし入社3年でそこまで気づくがどうかは疑問ですが、30代になるとわかるでしょうね。

 私も日本企業のマネージャーの管理能力のなさには泣かされました。
特にソフトウェア開発のプロジェクト管理は難しくて技術がわかって交渉能力やリソース管理能力も求められます。
しかし私が関わったプロジェクトのマネージャーは誰一人としてまともに管理できる人はいなくて全て作業者の私たちに丸投げ状態でした。
時々この人たちはなんの仕事してるんだろうと思ったことも多々ありました。


 著者は今の日本企業をねずみ講組織だといいます。
ちょっと言葉がきついので著者はなんか恨みでもあるのかなと思ってしまいました。
著者は富士通の社員だったので大企業の社員としての視点で書かれているためでしょうが私にしたらいまさらといった感じもしました。
新卒と既卒の差別についても書かれていましたが、私は大学さえも出ていないのでその差別にさえあうことがない人種です。
最初から大企業には興味がなかったので私には関係ない話なのですが、いい大学を出て会社のブランドにこだわる人にはつらいことなのでしょうね。
なんか贅沢な悩みだなと私からは見えてしまいますね。

 この本で出てくるコネクティという会社はワークスアプリケーションが主催していた一人シリコンバレープロジェクトで投資対象になった会社です。
私もこのプロジェクトの説明会にいきましたが、理由あって応募はしませんでした。
コネクティの社長は元ソニーの人らしいですが、こんな人がどんどん出てきてほしいですね。

 しかし大企業指向の人たちもこのように考えるようになったというのは日本社会が少しづつ変わってきているのかもしれません。
もう大企業に行っても自分にメリットがないとわかれば自分で始める人たちがでてくるでしょう。
私のようなアウトローだけではなく、メインストリームの人たちも何かを始めようと思うことはとてもいいことだと思います。
この本を読んで何かを始める人が増えるといいですね。
しかし大企業はこの本は読んでほしくないでしょうね。
著者がつぶされないといいんですが。