先月のBlogでも書いたようにLLPは新しい可能性を作り出す組織形態です。
いままで起業しようとするとどうしてもある程度の資本が必要でした。オフィスを用意して人を雇い、機器を購入するなど個人ではまかないきれないほどのお金が必要になります。日本企業の財務諸表を見ても負債のない会社はごく一部で、大部分の企業は銀行などからの融資に依存しています。
しかしいまやコストの大部分を占めるのは人件費です。特にITビジネスでは通信費や機器のコストが劇的に下がったために人件費の占める割合が非常に多くなっています。
またお金を多くだしたからといって優秀な人がきてくれるとはかぎりません。特にエンジニアはお金よりも仕事の内容で選ぶ傾向が強いと思います。
LLPは最初に巨額な資金を用意することなくパートナーシップを結ぶことによって優秀な人たちがグループを作ることのできる組織です。したがって今まで資金調達ができなかったために実行できなかったプロジェクトを政府のお墨付きでできるようになります。
しかしLLPが成功するためにはそこに参加する人たちが自立している必要があります。全員が責任を持って収益をあげることにコミットしてグループで協調して仕事ができる人たちでないともめることになるでしょう。
いわゆるベンチャー企業のカリスマ経営者っぽい人はこの組織は向いていないでしょうね。
またLLPは基本的に民主自治の組織ですので全員が納得しないと動けません。そういう意味では小規模でビジネスを行う場合に向いている組織だと思います。
私は今までのベンチャー企業のあり方に疑問を感じていました。IPO前か後で利益配分が天と地ほども違ったり、実際に汗をかいている人よりお金を出している人ばかりに利益が集まるのはフェアとは思えませんでした。
資本主義である限りは仕方のないことなのでしょうが、がんばった人に報酬が回るような仕組みにしないと大変な仕事は誰もやらなくなって経済自体がだめにならないか心配です。
収入に差があるのは当然ですが、虚業ばかりに富が集中するのはどうかと思います。
そのような現状を改善する新しい可能性としてLLPは利用してみる価値はあるのではないでしょうか。