今も変わらない無能な上層部

4106101254あの戦争は何だったのか―大人のための歴史教科書
保阪 正康

新潮社 2005-07
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 夏休みもあっていまいち仕事に乗れないためか、思わず本を読んでしまいます。本屋さんに行くと面白そうな本がいっぱいあるんですよね。つい誘惑に負けて買ってしまいます。

 ベストセラーの棚を見ると「あの戦争は何だったのか」という本がありました。太平洋戦争の歴史についての本ですが、新書ですぐ読めそうだったので買ってみました
これもすばらしい内容でした。日本が第2次世界大戦でどのようにして戦争に入っていったのかがわかりやすく書いてあります。

 エリート集団で構成されていた軍部は元々政府からは独立していて暴走する構造になっていました。2.26事件によっていわゆる恐怖政治になってしまって、政府が軍部を全くコントロールできなくなってしまいます。
 この本の主張でユニークなのが戦争を始めたのは暴走した陸軍ということになっていますが、本当は海軍が暗躍して日本を戦争に向かわせたということです。第1次世界大戦後、世界が軍縮に向かっていたとき日本の海軍力も世界各国から削減を求められました。そのことをずっと根に持っていた海軍がアメリカと戦争するように仕向けていったということです。
 しかし海軍も陸軍も日本を破滅に導いたという点では同罪でシビリアンコントロールがきかなかったのがそもそもの原因です。結局日本の国としての成熟度が稚拙だっただけでしょう。
 
 また日本の一番頭のいい人たちを集めた軍部の上層部があまりにも馬鹿だったのも驚かされます。当時日本は中国の蒋介石と戦っていて膠着状態でした。中国はアメリカやイギリスから支援を受けていたため日本はアメリカと戦争することになりますが、戦争になったらどうなるかということを考えずにはじめたようです。また戦争はやめ時が難しいのですが、それも希望的観測のみで戦略が全くありませんでした。
こんな馬鹿な人たちが日本を動かしていたなんて今から考えても恐ろしいと思います。

 これを読んでいて今の日本も変わらないなと思いました。能力のない上司の下で働かなければいけないサラリーマンだったり、自分では頭がいいと思っている官僚の政策に振り回される国民と日本の根本は何も変わっていないんだなと思います。

 これからこの国が気をつけなければいけないのは権威に対するチェック機能でしょう。政府や軍隊に対してはもちろんのこと、世間一般で偉いとされている医者や先生、経営者などをみんながチェックするという仕組みが必要だと思います。
 経営者に関しては株主がチェックするようになってきましたし、医者もセカンドオピニオンなどの外部チェックがかかるようになってきました。しかしまだ日本人は権威に弱いですね。

 日本は明治に急こしらえで作った国なので民主主義国家としてまだまだなのでしょうね。しかしもうあれから100年以上経っているんですからいい加減まともな国にならないといけないですよね。今度の選挙はそういう意味でもいい機会なのかもしれません。国民として馬鹿な政治家を選ばないようにしないといけませんね。

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