近未来ITエンジニア物語


(これはフィクションです。登場人物や内容は私が創作したものなので信用しないでくださいね。)




 まさとはソフトウェアエンジニアだ。
といっても会社につとめている訳ではない。
仲間といっしょに開発して立ち上げたECサイト向けシステムをインターネット上で公開してその収益を得ている
いまでは1000社くらいのクライアントがついていて年間1億ほどの売り上げになっている。
組織はLLPで登録してあって収益は仲間で等分に分けている。
その仲間とはSNSで知り合い、意気投合していっしょにソフトウェアを開発してビジネスをすることになった。





 オフィスはなくて仕事は全員好きなところでやっている。
メンバーとは週に何回かは会うことになっているが場所はその度に違う。
そんな感じで時間で働いている訳ではないので労務管理は必要ない。
ソフトウェア開発はデータセンターに設置しているサーバーにVPN経由で接続して開発したソフトウェアをバージョン管理システムにチェックインする方法で行っている。
みんな優秀なエンジニアなので仕事がはやくて成果物のクオリティもいい。
プロジェクトマネージメントってできない人たちを管理するためのものだからね。





 まさとは毎日朝起きると通勤電車に乗ることもなく近くのカフェで朝ご飯を食べる。
カフェで無線LAN経由でインターネットにつないでメールをチェックする。
今度新たに公開するサービスについていつもの仲間からのメールがきていた。
新しいタイプのメッセージシステムでセキュリティに厳しい状況で役に立つものだ。
インフラはデータセンターがネットワークを丸ごとレンタルしてくれるサービスを使うのだがファイアーウォールや負荷分散装置も一緒になっているからスケーラビリティもあるようだ。
 また、新規サービスのための営業は全てインターネットで行う。
まず、SNSでコミュニティーグループを作っていままでおつきあいさせてもらっているお客さんに告知メッセージを送っておく。
そして検索連動型広告に広告を出す。
あっそうそう、SEO対策もしておかないといけない。
GoogleとYahooの検索結果で上位10位に表示されるようにしなければ。
これが毎回頭の痛い問題だ。
そしてサイトは基本的に無料でオプションサービスを有料として公開する。
またプレスリリースも同時に出しておいたのだが、興味を示してくれたポータルサイトと提携することになった。
ポータルサイトのサービスとして利用してくれるらしい。
契約はこれからだが年間そこそこの収入が見込めそうだ。





 この手のビジネスでは資金調達はほとんど必要ない。
LLPなのでメンバーには配当としてお金を分配するので、固定で人件費はかからない。
メンバーもサービスが売れないと配当がないことを承知の上なので普段から貯蓄をしているし、他の収入源もある。
オフィスも営業部隊がいるわけではないので必要ない。
また、サーバーのハードウェアは全てレンタルで最初は最小構成からはじめるので内部留保しているお金でまわすことができる。
この辺りのお金がらみの雑事はまさとが取り仕切っている。
なので月一回は顧問税理士さんのところにいって色々相談にのってもらっている。
そろそろ他のメンバーにも会計を勉強してもらって代わりにやってもらいたいところだ。





 まさとはこの仕事とは別に海外のオープンソースプロジェクトの主要メンバーをやっている。
そのプロジェクトで知り合ったエンジニアの紹介でアメリカ企業の仕事のオファーがあった。
仕事のやり方は本社がカリフォルニアのサンノゼなので普段は日本で仕事をして週一回の打ち合わせはSkypeでビデオ会議を行っている。
そしてプロジェクトのカットオーバーの時にサンノゼで開かれるパーティーに参加するという感じだ。
そのサンノゼで知り合ったスタンフォード大の教授が面白い研究をやっているというのでアメリカにいったときに遊びにいった。
人間の脳をコンピューター上に実現しようという壮大な研究だ。
とても興味があったので、その研究のお手伝いをすることになった。
お手伝いするために勉強しようと思ってスタンフォードがやっているe-learningの講座をいくつかうけてみることにした。
さすがに難しいが内容はとてもおもしろい。
しかし日本にいても勉強できるのはありがたい。





 なんか仕事ばかりしているように見えるが、座り仕事で体力が低下しがちなので週3回ジムにいって体力アップのためにスポーツをしている。
また仲間とバンドを組んで2ヶ月に一回ライブをやっている。(下手っぴだけど)
彼女とも週一回はデートしている。(相手はもっと会いたいみたいだけど。)





 今度、日本のメンバーで次のサービスを企画している。
仲間の一人が開発した画像認識の技術を使ったサービスだ。
来月からまた忙しくなりそうだ。