誠実さが求められる時代

今週末は地元(大阪)に帰っていました。
そのとき親戚に聞いた話がとても印象的でした。


その親戚は土地を持っていて登記をしなければいけなくなったそうです。
彼が持っているのは古い土地なので昔の測量がいい加減で相続のために測量したら面積がちがっていたとのことでした。
そうなると新しい測量結果で登記し直さなければいけません。
土地を登記するためには隣地の方とどこが土地の境界かというのを確認しなければいけません。
これを境界確定といいますが、そのとき隣地の方から実印を書類に押してもらって印鑑証明をもらわなければいけません。
これが結構大変で、どなたも実印と聞くとかまえてしまうのでなかなかもらえないそうです。


このあたりの仕事をするのは土地家屋調査士です。
名前から察するところ土地の調査するだけの人のように聞こえますが、実際は土地を測量して隣地の方から印鑑をもらって登記をし、土地境界確定で紛争が発生したら調停を行います。
しかし、親戚が依頼した土地家屋調査士は隣地の方に対してかなり一方的な対応を行っていたようです。
具体的にはちゃんとした説明もなく図面でここが境界だから印鑑を押せという感じだったそうです。
隣地の方との交渉は全て土地家屋調査士にまかせていたらしいのですが、異常を感じて親戚が直接話したところ土地家屋調査士の誠意のない対応でみなさん憤慨していたとのことでした。
親戚が丁寧に説明したところ隣地の方も納得して手続きが進んだそうです。
もちろんその土地家屋調査士はクビにしたそうです。


この話を聞いて最近の企業の不祥事を思い出しました。
赤福やミートホープニチアスなど利益優先で不誠実な行いが批判の的になっています。
最近、企業側のこれくらいはいいだろうと思っている事に対して世間はだんだん厳しくなっていると思います。
今回の土地家屋調査士のやり方も今までだったら通用していたのかもしれませんが、不誠実な対応は高い代償を払う事になるということを思い知ったと思います。
企業の不祥事に比べれば今回の話は大した事はないのでしょうが、「不誠実」というキーワードが両方に出てきて何か関連性を感じてしまいます。


今日の日経新聞にも載っていましたが、企業はこれからは内部統制をしっかり行わないと取締役は訴追される恐れが出てくるとのことです。
日本の司法はまだ市民のための機関にはなっていませんが、こういった動きは少し前進しているのかもしれません。
これから取締役になる人は大変な時代になるのでしょうが、会社経営で不誠実が許されなくなることはとてもいいことだと思います。


最近、不誠実な経営を行ってきた企業が批判されるようになってきました。
今まで社会常識とは違う自分の利益を最大化するようなやり方でやってきたツケが回ってきているのでしょうね。
ちゃんとルールに則って行うことはもちろんのこと、人として正しいのかを常に自問しながらビジネスをしなければいけない、そんな時代になってきているような気がします。