ワープする宇宙

ワープする宇宙―5次元時空の謎を解くワープする宇宙―5次元時空の謎を解く
リサ・ランドール 塩原 通緒

日本放送出版協会 2007-06
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最初、物理学に興味を持ったのは確か小学生のころでした。
そのとき親にアマチュア無線の資格を無理矢理取らされたのですが、無線工学で最初に出てくるのが電磁気や原子のことでした。
物質とは何か、エネルギーとは何かというところで最初からひっかかってなかなか資格を取るための勉強が進みませんでした。
その後、あまり勉強はしなかったのですが物理学というといつも気になるトピックでした。
なので一般向けに描かれた物理学の本は時々読んでいます。


「ワープする宇宙」は最新の理論物理学を数式なしに一般の人向けに書かれた本です。
実はこの本は発売されてすぐ読んだのですが、今日テレビで著者のリサランドールさんが出ていたので久しぶりに引っ張りだして再び読んでみました。
彼女の理論では余剰次元とよばれるもう一つの次元が存在することを予測しています。
相対性理論ではこの世界は空間と時間をあわせた4次元で構成されているとしていますが、もう一つの5番目のかくれた次元があって他の世界とつながっているというのが彼女の主張です。
その考え方を説明するためにこの本では相対性理論から素粒子論を説明して、なぜその考え方にいたったかをわかりやすく解説しています。


この本の特徴として各章のはじめに書かれている物語があります。
アシーナという少女が不思議の国のアリスのような世界を冒険するお話なのですが、その中に彼女の理論を説明するためのヒントが含まれています。
この手法は「ゲーテル・エッシャー・バッハ」でも使われていた方法でこ難しい内容のものを楽しく読ませるという点でいい方法だと思います。


ランドールさんはTVで学生から質問されていたんですが、研究をやめたくなったことはないかという問いに対して、やめたくなったことはないが自分のやっていることが意味のあることなのか不安になることがあると言っていました。
学者のようにわからないことを研究していると特にそう思うのかもしれませんが、普通の仕事でも同じだと思います。
売り上げをあげてお金や地位を得るために働いていると、自分のやっている事は価値のあることなのかとふと疑問に思ったりします。
生きて行くためには働かなければいけないので仕方なくやっている部分もありますが、できるだけ自分が納得がいく方向に持って行くことも重要だと思います。
それにお金儲けは人間が行っている活動の一部でしかなくてランドールさんが行っているような研究も私たちにとってとても重要なものだと思います。


しかし、お金の心配をしないで好きな事を研究できるのってうらやましいですね。