わからない損失

自己啓発系の本を読むと人は選んで付き合いなさいと書いてあるものが結構あります。
確かに人を悪事に巻き込むような人との付き合いは危ないのでやめたほうがいいでしょうが、そうでもない場合どうやって人を選ぶのでしょうか?
私の回りでも人をすぐに見切って付き合うメリットがないと関係を切るような人がいました。
しかし、人の判断なんてそんなに簡単にできるものではなく、人は色んな面を持っています。
私は多くの人にどうしようもないと思われている人でも結構長く付き合ったりすることがあります。
ひどい目に合わされたこともありますが、長く付き合ってるといいところもあることがわかってきます。
なので早々に人を見切ってしまうのはその人の人生にとって大きな機会損失だと思います。


人を選ぶといえば、大学の入試も人を選んでいます。
ペーパーテストの点数だけで大学で勉強できる能力があるかを判定していますが、では落ちた人は能力はないのでしょうか?
私は落ちた人もやる気があれば十分大学を卒業できると思います。
私は趣味で大学の数学の本を読んでいますが、高卒の私でも理解はできます。
結局は大学の都合でふりおとさなければいけないだけの話なのでしょう。
しかし、もし大学に落ちた人が大学で勉強できたらどれだけ社会に貢献できたのでしょうか。
かなりの機会損失があるのではないかと推測できますが、正確なデータはないでしょう。
少子化にもなってきている現在、大学もペーパーテストで振り落とすというやり方を改めて機会損失について考える時期なのではないでしょうか。


少し前に読んだ「チョイス」という本でも企業の利益を機会損失という形で考えています。
ある商品を店頭で売ったら莫大な利益が出るのに取引関係のしがらみなどでできないという話がでてきます。
機会損失というのは見えない損失なので多くの企業が見過ごしているのでしょうね。


最近、機会損失で思うのは大量の失業者です。
製造業などは今、急激に生産能力を縮小しているので多くの失業者が出ています。
もう、製造業の時代ではないのに大量に非正規労働者を雇った反動が社会問題になっているのだと思います。
この仕事にあぶれた人たちの労働力を別の人手不足の業種に使えればこの問題も解消されます。
しかし日本では労働者が再び勉強できるようにするシステムが弱すぎです。


例えば未経験の人がITエンジニアになろうとしても結局独学でやるしかなく、未経験の人は会社が雇用してくれないのでなかなかチャンスがありません。
私が最初にこの業界に入ったとき使っていた技術は今では使われなくなっています。
なので仕事をしながら新しいことを勉強してきました。
最近はそのサイクルが早くなってきています。
北欧の国では国のお金で労働者の再教育コストをまかなっているそうです。
職種のスイッチができない日本の機会損失も膨大なものになっているのでしょうね。


機会損失を理解するにはシミュレーション的な思考が必要になります。
もしこうしたらどうなっていただろうかということを推測し、いろんなデータで証拠づけて考えなければいけません。
めまぐるしく情勢が変わる現代ではその能力がないと成功することは難しいのかもしれません。


映画監督の山田洋二さんは「映画監督は人に興味がないとだめだ。」と言っていました。
ちょっと付き合っただけでこの人はこんな人だと判断するのは人に興味がないからなのかもしれません。
映画監督だけではなくどんな人でも人に興味のない人は幸せになれないと思います。
なので私は少々むかついてももう少し付き合ってみようと思うようにしています。(限度はありますが)
ただ、一緒に仕事する場合はむかつく人とはやりたくないですねー。

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