ITは何のために必要?
日本では不況は回復基調にあると言われていますが、現場ではまだまだ回復する兆候が感じられません。
仕事のないITエンジニアも増えているみたいですし社内失業状態の人も結構いるようです。
また、ITエンジニアの単価もかなり下がっていて私の知っている範囲でもこの半年で30%くらいダウンしているようです。
市場は長い目で見ればものの価値を正当に評価してくれる場です。
その市場でITエンジニアの評価が一時的とはいえこれだけ下がっているのには理由があると思います。
ハードウェアや通信サービスのコモディティ化、海外へのオフショアリング、SaaSやクラウド技術の台頭などコストを下げる変化が色んなところで起こっているのが原因なのでしょう。
そもそもITの価値はなんでしょうか?
新しい技術や高機能の製品が次々と出てくる業界ですが、私はITの価値を次の2点に集約されるのではないかと考えます
・処理を自動化する
元々は数値計算をするために作られたコンピューターですが、今は事務処理などデータを扱う作業を自動化するために多くの企業で使われています。
業務の自動化により労働効率をあげて企業の競争力を高めることが経済全体にとっていいことなのだと思います。
そのかわり、いらなくなった人をリストラする人減らしの技術となってしまったという面もあります。
・情報を伝達する
今まで郵便や放送、電話などの情報伝達手段がありましたが、インターネットが登場して個人が双方向のコミュニケーション手段を手軽に使えるようになりました。
電子メール、ウェブ、動画配信などがPCで使えるようになり最近は携帯電話でも同じサービスを使うことができます。
結局は多くのIT企業はこの2つの機能を提供するために様々な製品やサービスを作り出しています。
「アルゴリズムとデータ構造」という本ではプログラムとはアルゴリズムとデータから構成されていると書いています。
アルゴリズムが処理の自動化でデータが伝達すべき情報と考えるとITの仕事がこの2点に集約するのも当然なのかもしれません。
私がIT業界で仕事をしていていつも感じていたのは、技術先行でビジネスをしていてユーザーのメリットを考えずに売っているのではないかということでした。
技術を売っている企業なのだから技術指向になるのは当然なのですが、その技術がユーザーのメリットになるのかという検討が甘かったように思います。
そんなとき「処理の自動化」と「情報の伝達」という2つの点から考えるとユーザーにとっての価値も見えてくるのではないでしょうか。
市場は価値評価で嘘をつくことがありません。
短期的には変動しても長期的には必ず妥当なところに落ち着いていきます。
これからも市場の評価を見て価値あるITビジネスを行っていかなければいけないと思いますね。。
アルゴリズムとデータ構造 浦 昭二 国府方 久史 近代科学社 1990-09 売り上げランキング : 143158 おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools |