ハーバード白熱教室

今NHKで放送されているハーバード白熱教室はとてもおもしろいです。
政治哲学についてのハーバード大学の講義なのですが、人気講義だけあってわかりやすく私のような素人でもなんとかついていける感じです。
講義は有名なエマヌエルカントの著作を中心に行われていて、6回目の今回は道徳や倫理についてでした。


その中で自分が重要なポイントだと思ったのは以下の点です。


  • 道徳的行為は動機が重要で義務から行われた行為が道徳的である



  • 普段、私たちは自分の利益になることが動機となって行動することが多いと思います。
    しかし、道徳的な行動は欲得からくるものではなく、そうしなければいけないから行うという義務感から行われるものであるとカントはいいます。
    例えば、企業が慈善活動をするのは会社の評判をあげて売上があげるという下心があります。
    そのような行為は結果がいくらよくても道徳的ではありません。



  • 自由とは傾向性に影響されない自律的な理性によって実現される



  • 傾向性とはそれをやったらお金が儲かるとか名声を得ることができるなどという外部的な理由によって自分の行動を決定することです。
    例えば、のどが乾いたから飲み物を買うというのも自由意志で決定しているように見えますが、欲望に操られているだけだとカントは言います。
    本当の自由とはそのような傾向性に左右されることなく自分の理性が決定したルールに基づいて行動することです。



  • 人を手段として扱うのではなく、人それ自体を目的とすべきであり人は尊敬に値するものである



  • これは個別の人に対する考え方ではなく普遍的な人に対する考え方です。
    例えば、とてもむかつく人がいたとしてもその人を殺したり傷つけたりすべきではなく、他の手段で解決すべきでしょう。





カントの解説本を読んだことがありますが、とても難解で私には理解できませんでした。
しかし、この講義を聞いてカントの言いたいことがすこし分かったような気がしました。
彼は、人類が普遍的に持つ道徳感や理性を体系的にまとめたのだと思います。
彼の哲学は物理学にも似たような厳格な法則によって構成されていて、かつ人間性にあふれた考え方だなと思いました。


哲学というとわかりくくて難しいという印象がありますが、最初の出発点は私たち普通に生活している人と同じような悩みからはじまっています。
また、久しぶりにカントを読んでみようかなと思います。

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