Appleはいつまで独裁的なやり方を続けるのか


いまやiPhoneiPadで飛ぶ鳥を落とす勢いのApple
私もはじめてMacを見たときのわくわく感を久しぶりに感じています。
しかし、このジョブズのインタビューはどうかなと思いました。


インタビュアー: で、タブレットはどこにいっちゃったのかしら。
雑誌と新聞に関連することはどうかしら?

スティーブジョブズ: 自由な社会の基盤は、自由な新聞だと思う。
われわれは、米国の新聞に何が起こっているかを見てきています。
思うに、新聞は、非常に重要です。ブロガーの国に身を落とすのは嫌ですね。
編集者が必要なんです。




これはAppleの姿勢を象徴的に表している発言だと思います。
ブログは確かに素人が書いていますし、ジョブズのようなクォリティを求める人たちには目障りなものでしかないでしょう。
しかし、ブログが出てくることによって誰でも自分の考え方を公開することができるようになりました。
そして、YouTubeUstreamの動画配信サービスも出てきていよいよ個人が表現することが簡単になりました。
こういった個人の表現の権利は民主主義の国では基本的人権ですが、ジョブズは気に入らないようです。


AppleのAppStoreにしても独裁的なやり方で運営されています。
いままでOKだったiPhoneアプリが突然だめになったり、審査の基準があいまいだったりして異議申し立てができない状況です。
またFlashを動作しないようにしている理由もかなり無理があります。
ジョブズは単に技術的な問題だと言っていますが、Flashからネイティブアプリに変換することも禁じるというのは単なる技術的問題とは思えません。


このような独裁的なやり方は早晩限界にくるのではないでしょうか。
アプリ審査もApple社がやるのではなく開発者や利用者のコミュニティで公開で行われるべきではないかと思います。
LinuxApache,Perl,Rubyなどのオープンソースソフトウェアは全てコミュニティの話し合いの中でいろんな意思決定が行われています。
Sunの開発したJavaもコミュニティで話し合うことが基本になっているようです。
以前LinuxLinus TorvalsとジョブズがMacのOSにLinuxを使うことについて話し合ったことがあるそうですが、あまりの考え方の違いで決裂したそうです。
コミュニティで開発されているLinuxAppleでは文化が違いすぎたのでしょうね。


またAppleiPhoneなどの開発者にNDAをたてに自由に技術的な議論をすることを禁じています。
さすがにそれに対して怒った開発者によって制限は多少緩和されたようですが。
Appleは自分たちが最高のものを提供するからお前たちはそれを黙って使えばいいという考えなのでしょう。
確かにCocoa TouchなどiPhoneのUIはよくできています。
しかし、いまや企業1社で全て作れるような時代ではないことをAppleは理解していないのではないでしょうか。


Appleはハードもソフトも作っているので垂直統合型の企業に見えますが、結構寄せ集めで製品を作っています。
OSのコアはFreeBSDですし、開発ツールはGNUのものを使っています。
MacのハードはCPUはIntelでWindowsマシンと使っている部品はほとんど変わりません。
iPhone,iPadもOSはMac OS Xのサブセットです。
なのでAppleオープンソースや既存のインフラの恩恵を受けているのです。


哲学の考え方として弁証法というのがあります。
弁証法とは簡単にいうとある考え方があってそれに対して否定することによって矛盾を明らかにすることです。
例えば専制君主制の否定として民主主義が考えだされて今や多くの先進国が民主主義国となりました。
これと同様にAppleのやり方に対して否定をしてその否定の方がより納得のいくことであればAppleはやり方を変えざるを得ない状況になるのではないでしょうか。


Appleが創業したころはマーケットも小さくて一社で全てコントロールすることができました。
しかし、インターネットでつながることが前提になって一社でなんでも勝手にやることができなくなりました。
これからはAppleはもっと開発者コミュニティやユーザーコミュニティと協調してやるやり方を学ぶべきだと思います。
私はAppleの製品が好きなのでなんとかもっとオープンになってほしいなと思いますね。